1994 Fiscal Year Annual Research Report
低温型温度刺激応答性糖質を用いたアフィニティー沈澱法による糖結合性蛋白質の精製
Project/Area Number |
06750823
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
星野 一宏 富山大学, 工学部, 助手 (20222276)
|
Keywords | 温度刺激応答性高分子 / 固定化糖質 / アフィニティ精製 / レクチン |
Research Abstract |
従来のアフィニティークロマトグラフィーの問題点を解決し、生化学物質の低コスト生産を計るために、糖結合性蛋白質であるレクチンと糖質をアフィニティーモデルとして適用し、糖質をリガンドとして結合した機能性高分子を新規に調製し、その吸着体を用いたアフィニティー沈澱法によりレクチンを迅速に分離・精製する方法を確立することを目的とする。すなわち、我々が近年開発した温度刺激応答性高分子を改良し、目的物質である糖蛋白質を不活性化させないように4℃から10℃程度の低温で溶解性が可逆的に変化する低温型温度刺激応答性可溶・不溶可逆高分子を新規に合成し、この高分子体へ糖質(マルトース)を結合させたアフィニティー吸着体を調製した。この吸着体を可溶状態で使用し、タチナタマメの破砕物から沈澱画分を分離することなく直接レクチンを吸着させ、温度の上昇により吸着体を不溶化させ、レクチンを効率よく高純度に精製することを検討し、以下の成果を得た。 1.アクリロイルピペリジンと連鎖移動剤システアミンを用いて連鎖重合を行うことにより、高分子側鎖にアミノ基を有するPoly(アクリロイルピペリジン)を調製した。さらに、この高分子と糖質であるマルトースを還元剤を用いて結合させアフィニティー吸着体を合成した。本吸着体は、可逆系に4℃以下で可溶状態、また、8℃以上で完全に不溶状態となる機能性吸着体であった。 2.本吸着体を、糖結合性蛋白質であるレクチンの精製に使用した場合、pH7、2℃において最大の吸着を示し、吸着体当たりの吸着量は1.5x10-7mol/g-吸着体であることがわかった。さらに、10℃にすることにより本吸着体は、完全に不溶化し、遠心分離により回収することができた。 3.本吸着体に結合したレクチンの解離に、メチル-α-マンノースの添加が有効であり、0.2Mの濃度で1時間放置することにより、完全に吸着体からレクチンを回収することができた。
|
-
[Publications] K.HOSHINO: "Hydrolysis of Starchy Materials by Repeated Use of an Amylase Immobilized on a Novel Thermo-Responsive Polymer" Journal of Fermentation and Bioengineering. 77. 407-412 (1994)
-
[Publications] K.HOSHINO: "Production of Ethanol from Reclaimed Paper Using a Combination of a Reversibly Soluble-Autoprecipitating Cellulase and Flocculating Yeast Cells" Journal of Chemical Engineering Japan. 27. 260-262 (1994)
-
[Publications] S.MOROHASHI: "Dissociation Equilibrium in Hydrolyzed Polyacrylamide Gel Accompanied by Swelling and Shriking" Journal of Chemical Engineering Japan. 27. 171-176 (1994)