1994 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル開環重合によるポリ(シリルエノールエーテル)の合成と反応-多機能性を有する反応性ポリマーの設計
Project/Area Number |
06750903
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木原 伸浩 東京工業大学, 工学部, 助手 (30214852)
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Keywords | ラジカル開環重合 / ビニルシクロプロパン / シリルエノールエーテル / 反応性ポリマー / ポリケトン |
Research Abstract |
シリルエノールエーテルは有機合成化学における最も有用な合成中間体の一つであり、ポリシリルエノールエーテルは最も有用な反応性ポリマーの一つとなると考えられる。ラジカル開環重合性を持つビニルシクロプロパンの1位または1´位にシロキシ基を導入した新規モノマーとして1-(trimethylsiloxy)ethenyl-cyclopropane、1-phenyl-2-(1-(trimethylsiloxy)ethenyl)-cyclopropane、ethyl2-trimethylsiloxy-2-vinyl-cyclopropanecarboxylateのラジカル重合を検討した。その結果、いずれのモノマーも定量的に開環を伴いながら重合が進行し、主鎖にシリルエノールエーテル構造を有する新規ポリマーが得られた。開環の方向はシクロプロパン環に導入したラジカル安定化基によって完全に制御することができた。また、重合に際して副反応はほとんど観測されず、二重結合含有率は非常に高いものであった。これは、主鎖中に官能基が導入できる開環重合の特徴と官能基選択性の高いラジカル重合の特徴を併せ持つラジカル開環重合法を適用することにより初めて可能となったことである。このようにして得られたポリシリルエノールエーテルの反応について検討したところ、酸加水分解、フッ化物イオンを触媒とするアルキル化、フッ化物イオンを触媒とするアルドール反応、アルキリデンメルドラム酸とのヘテロDiels-Alder反応など種々の反応を行なうことができ、適切な活性化によって種々の求電子剤と反応する反応性ポリマーとして利用可能な有用なポリマーとなりうることが明らかとなった。
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