1994 Fiscal Year Annual Research Report
アニオンリビング重合による厳密に鎖構造が制御されたポリアクリルアミドの合成
Project/Area Number |
06750906
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石曽根 隆 東京工業大学, 工学部, 助手 (60212883)
|
Keywords | リビングポリマー / アニオン重合 / N,N-ジアリルアクリルアミド / ポリアクリルアミド / 立体規則性 |
Research Abstract |
最近、申請者は独自の方法により、様々な官能基を保護したモノマー類のアニオンリビング重合を行い、続いて保護基を定量的に除去することにより、目的とする官能基を有する設計通りの分子量と狭い分子量分布を持つ新規ポリマーの合成に成功してきている。本研究では、アクリルアミドの活性水素を保護した構造のN,N-ジアリルアクリルアミド(1)に着目し、そのアニオンリビング重合が可能な反応条件の検討を行なった。1,1-ジフェニル-3-メチルペンチルリチウムを開始剤に用い、1の重合をTHF中、-78℃において行ったところ、1時間でポリマーが定量的に得られた。得られたポリマーは、クロロホルムには可溶であったが、THFに対しては可溶部と不溶部に分別することが可能であった。これに対して、重合系にジエチル亜鉛を添加した場合、生成ポリマーは全てTHFに可溶で、ほぼ設計通りの分子量と比較的狭い分子量分布を有していた。一方、ジフェニルメチルカリウム、トリフェニルメチルセシウムを用いて重合した場合の生成ポリマーはTHFに可溶でほぼ制御された分子量を有していた。これらの開始剤の場合も重合系にジエチル亜鉛を添加すると分子量分布がMw/Mn<1.1と非常に狭くなることが確認された。ジエチル亜鉛の添加効果についてはまだ詳細は明らかではないが、ポリ(1)の分子量、その分布の制御に対して大きな効果が示された。これはおそらく、弱いルイス酸であるジエチル亜鉛が活性末端カルバニオンに配位してその安定化をもたらし、カルボニル攻撃やα-水素引き抜きなどの副反応が抑えられた結果であろう。さらに生成ポリマーの溶解性の違いは、ポリマーの立体規則性に基づくものであり、高分解能NMRを用いて現在解析を行っている。生成ポリマーの脱アリル化反応による鎖構造の規制されたポリアクリルアミドの合成についても現在検討中である。
|
Research Products
(1 results)