1994 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科作物の節間伸長に伴う微小管蛋白質の消長に関する組織学的研究
Project/Area Number |
06760012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根本 圭介 東京大学, 農学部, 助手 (40211461)
|
Keywords | トウモロコシ / 節間 / 微小管 / 細胞骨格 / 分裂組織 |
Research Abstract |
イネ科作物の節間の形態は,介在分裂組織(長軸方向への分裂によって節間の伸長をもたらす)と1次肥大分裂組織(放射方向への分裂によって肥大や不定根形成をもたらす)の消長の組み合せによって決定されるものと,研究代表者は考えている.分裂組織における細胞の分裂方向や拡大方向は,細胞内の微小管の配列によって制御されているといわれる.本研究では,トウモロコシ節間におけるこれら分裂組織の消長と微小管の形態の動態および微小管タンパク質遺伝子の消長とを比較することにより,イネ科作物の茎における,微小管による分裂組織の動態の制御に関する知見を得ようとした. イネ科作物では,低位の節間から高位の節間へと節間伸長の程度が増すにつれて節間における不定根の形成が不良となる.本研究において,不定根の形成の盛んな下位の節間では,介在分裂組織の分化が遅延するとともに表皮下の1次肥大分裂組織が極めて密な接線方向の微小管(放射方向への細胞の分裂・拡大に適した微小管配列とみられる)を備えるという特徴を見いだした(逆に,不定根を持たない高位の節間では,介在分裂組織が早くから活発になるとともに1次肥大分裂組織の発達は貧弱であった).in situハイブリダイダイゼーションにより1次肥大分裂組織における微小管タンパク質遺伝子の消長をみたところ,低位節間ではその発現量が,高位節間のそれに比べて著しく高かった. 以上,1)節間での不定根の形成は,形成の場としての1次肥大分裂組織の存在を必要とし,2)各節間における1次肥大分裂組織の発達は,介在分裂組織の分化の遅速に規定されており,かつ,3)1次肥大分裂組織の活性の低下は,微小管タンパク質遺伝子発現の著しい低下を伴っているもの,とみられた.
|
Research Products
(1 results)