Research Abstract |
1.'次郎'以外のカキ品種の根からの不定芽分化に関する実験. 不定芽分化培地に'平核無','西村早生','西村早生(わい性)','花御所'及び'富有'の根を植え付けたところ,すべての品種において,不定芽の分化が観察れたが,その分化率は,それぞれ53%,70%,75%,31%及び52%と品種間差があった. 2.根から分化した不定芽由来のシュートの特性に関する実験. '次郎','平核無','花御所'及び'富有'の4品種に関して,根から分化した不定芽由来のシュートの特性を調査した.その結果,シュート伸長培地においては,不定芽由来シュートの方が茎頂由来のシュートよりも最大シュート長が優れる傾向にあった.また発根培地においては,不定芽由来シュートの方が茎頂由来のシュートより発根率が優れ,特に発根率が低い品種ほど,両者の差が広がった.また,不定芽由来のシュートは鉢上げ後の生育も優れており,茎頂由来のシュートより多くの個体が順化でき,屋外に搬出できた. 3.根からの不定芽分化の組織学的研究. 不定芽分化中の根をアクリトロンE樹脂により包埋し,2〜4μmの厚さの切片を作り,トルイジンブルー0液にて染色した後,検鏡したところ,内鞘部分より不定芽の分化している状態が観察された.しかしながら,不定根も同じところより分化しており,この2者を区別するため,詳細な観察が必要とされる. 4.根から分化した不定芽由来植物体の調査 圃場で成育中の根から分化した不定芽由来の'次郎'個体の果実を調査したところ,従来の手法である接木によって繁殖された同品種成木の果実より,若干大きめであったが,これが遺伝的変異による影響なのか,樹齢による影響なのかはわからなかった.
|