1994 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸海洋微細プランクトン群集中に占めるメタン資化細菌細胞の検出と計測
Project/Area Number |
06760169
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
難波 謙二 東京大学, 農学部, 助手 (70242162)
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Keywords | メタノトローフ / メタン |
Research Abstract |
海洋環境から得られたメタン資化細菌の培養株を用い、透過型電子顕微鏡によりメタン資化細菌の観察を行う過程で、最適な固定、包埋、薄切及び染色の方法を検討することから開始した。固定にはアクロレインとグルタールとを用いたが、グルタールのみで充分な固定が行われるので取り扱いの手軽さからグルタールのみを用いた。また、海水の浸透圧を考慮し、緩衝液に0.1Mカコジル酸+0.25M NaCl pH6.85を用いた。50mlの培養に3.5mlの8%グルタールを添加し、1500xgで遠心し集菌した後、等容量の3%グルタール緩衝液溶液で2時間前固定を行った後、緩衝液で5回洗浄した。後固定はサンプルと等量の1%オスミウム緩衝液溶液2時間で行い、蒸留水で5回洗浄を行った。続いてサンプルペレットをアガロース包埋した。溶解しておいた2%アガロースをほぼ等容量加え、1500xgで遠心した。細切した後、エタノールシリーズ(50,70,90,95,100,100)で脱水、プロピレンオキサイドで置換ののち樹脂を浸透した。樹脂はエポキシQueto1812を用いたが、混合比6:4、5:5、4:6を試みたところガラスナイフでは5.5が最も適当であった。観察は酢酸ウランとクエン酸鉛で染色した後、日本電子製透過電顕1200EXを用いた。 以上の方法でメタン資化細菌細胞の観察と内膜構造による判別はできることが判明した。しかし、計数となると、いくつかの問題点があることも分かった。一つは、寒天包埋の段階で集められる細胞に偏りが生じることである。遠心により集めると、比重の違いにより分別が生じてしまい、その後のプロセスで用いる1ミリ立方程度の体積では全体を代表させるのは困難であると考えられた。また、連続した切片のうちの一つの切片を観察できる数が、細胞がまばらに分布していると有意な値となる程度の計数値が得られないことも問題であった。寒天包埋時の遠心の回転数を高く設定することで解決を試みたが、寒天の比重の問題もあって現有の遠心機では解決しなかった。以上2つの問題を解決するために、フィルターによる集菌ののち一連のプロセスを行うことを試みているところである。
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