1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06760173
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
遠藤 英明 東京水産大学, 水産学部食品生産学科, 助手 (50242326)
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Keywords | 連鎖球菌 / バイオセンサー / 魚病 / 固定化微生物 / 水産養殖 |
Research Abstract |
近年,水産養殖業の分野において連鎖球菌感染症による魚の大量へい死が問題となっていた。この感染を防ぐには,海水中および魚体中の連鎖球菌の生菌数を早期に把握することにより,効果的な予防,治療が可能であるといわれている。そこで本研究では,迅速,簡便な連鎖球菌計測法の確率を目的に,固定化微生物膜,電気化学システム等より成る連鎖球菌検出用バイオセンシングシステムを試作し,その測定を試みた。 まず,病魚より分離された連鎖球菌(Streptococcus sp.)をニトロセルロース膜に吸着固定し,クラーク型酸素電極の作用電極面に装着して微生物電極を製作した。次にこれにエレクトリックメーター,記録計等を接続してバイオセンシングシステムを試作し,微生物電極部分をリン酸緩衝溶液(pH7.0)に浸漬した後,その出力が安定したところで,電極をSTAN/P培地中に移し替え,菌体のよる酸素の減少量を電流減少値として測定した。 その結果,連鎖球菌の生菌数計測を行なったところ,1.4〜7.2x10^7cells/ml範囲で測定が可能であった.また一検体の分析所用時間は約30分間であり,さらに本システムの応答に及ぼすレンサ球菌以外の微生物(Vibrio sp.,P.fluorescens,E.coli等)の影響を検討したところ,その影響は極めて小さく,レンサ球菌のみを選択的に検出できることがわかった.一方これに対して,従来より用いられている平板培養法では,煩雑な操作を必要とするばかりでなく,培養に長時間(2〜3日間)を要するため,測定結果が得られたころには,魚が既にへい死してしまっているという問題があった。したがって本システムを用いることにより,その時間を著しく短縮することができ,このことは水産養殖の分野に新たな知見を提供できるものと考えられる。 なお,本研究の一部は平成6年度日本水産学会秋季大会(三重大学生物資源学部)において口頭発表した。
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