1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06760216
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
近藤 文義 宮崎大学, 農学部, 助手 (60253811)
|
Keywords | 粘土鉱物 / カオリナイト / モンモリロナイト / 沈降様式 / ゼータ電位 |
Research Abstract |
自然界に存在する粘土は、各種粘土鉱物の集合体である。自然界の粘土に関する沈降特性は、粘土が物理・化学的性質の異なる各種粘土鉱物の集合体であり、また有機物を含んでいるために、これを定量的に把握することは難しい問題である。 自然界に存在する粘土の沈降特性を定量的に把握するための一つの手段として、有機物を含まない純粋な粘土鉱物粒子の沈降特性に関する研究は有用である。本研究では、カオリナイトとモンモリロナイトについての沈降実験ならびにゼータ電位を測定し、以下のような成果を得た。 カオリナイトは、初期含水比の違いにより、凝集性自由沈降、界面沈降、圧密沈降の3種類の沈降様式を示し、単粒子自由沈降は示さない。また、カオリナイトの沈降様式は、塩濃度の影響を受けず、初期含水比の違いによってのみ決まる。一方、モンモリロナイトの沈降様式は、初期含水比だけでなく、塩濃度の影響も受けると共に、通常確認される4種類の沈降様式に加えて、寒天状態で沈降を起こさない領域も存在する。また、モンモリロナイトの沈降様式は、従来より報告されている各種海性粘土の沈降様式に比較的類似している。 カオリナイトの場合、ゼータ電位は塩濃度の大小に拘わらず-8(mV)程度の一定値を示す。一方、モンモリロナイトの場合、ゼータ電位は塩濃度が1(g/l)以下になると低下する。従来より、懸濁粒子が凝集から分散に転じる境界のゼータ電位は-20(mV)程度であることが指摘されている。モンモリロナイトの沈降様式は、塩濃度が1(g/l)以下になると界面沈降や圧密沈降から単粒子自由沈降あるいは寒天状態で沈降を示さない領域に移行している。すなわち、ゼータ電位の測定結果は、カオリナイトの沈降様式が塩濃度の影響を受けず常に凝集状態であること、さらに、塩濃度の低下に伴うモンモリロナイトの沈降様式の変化を裏付けるものである。
|