1994 Fiscal Year Annual Research Report
クエン酸発酵性乳酸菌のクエン酸分解酵素遺伝子のクローニングと他の乳酸菌での発現
Project/Area Number |
06760235
|
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 助手 (70257294)
|
Keywords | gene cloning / citrate lyase / citrate permease / lactococci / transformation |
Research Abstract |
まず,Lactococcus lactis subsp.lactis biovar diacetylactis(L.diacetylactis)NIAI N-7が保有しているプラスミドpN7CPにコードされたクエン酸透過酵素(Cit-P)遺伝子を,エリストマイシン耐性(Em^r)ベクターpIL253を用いてクローニングした。Em^rでクエン酸代謝を示す(Cit^+)形質転換体KAK1はpN7CP由来の3.8-kb断片が挿入されており,他のEm^r/Cit^+形質転換体KAK7は2.0-kb断片の挿入されたpKAK7を有していた。受容菌はCit-P活性がなくクエン酸分解酵素(Cit-L)活性のみを有するが,KAK1とKAK7は共にCit-P活性を新たに示すようになることが見いだされた。一方,pKAK7を用いてCit^- lactococci5菌株を形質転換したところ,3菌株についてはEm^rであったが,Cit-P活性はほとんど示さなかった。これは,上記菌株にCit-L活性がないためクエン酸が分解されず,クエン酸を取り込むことができなかったものと推定された。これに対して,Cit^-L.lactis subsp.lactisLM0230とNIAI SINの形質転換体はCit^+を示し,Cit-P活性も確認された。本研究により,Cit^-L.lactisと分類されているものの中にはクエン酸代謝におけるCit-P遺伝子のみの欠損株(Cit-L遺伝子は有する)もあることが示された。また,pKAK1とpKAK7はクエン酸分解酵素をクローニングできる可能性のあるベクター由来のEco RI,Sac I,Sma IおよびSal I消化部位を有することが確認できた。 さらに,L.diacetylactis NIAI DRC1021の染色体にコードされたCit-L遺伝子のクローニングを試みた。すなわち,pKAK7をベクターとし,制限酵素にはEco RIを,受容菌としてL.lactis NIAI 1061を用いた。その結果,選択培地上でEm^r/Cit^+を示す形質転換体を得ることができた。Cit-L遺伝子がクローニングされている可能性が示唆されたが,その性質はEmの選択圧がかけられているにもかかわらず、非常に不安定であった。繰り返し実験の結果も同様であった。Em^r/Cit^+形質転換体のCit-L活性が不安定となる理由について,今後,検討を行う必要がある。
|