1994 Fiscal Year Annual Research Report
炎症における脳および血小板のα_2-アドレナリン受容体活性
Project/Area Number |
06760288
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
日笠 喜朗 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (30165071)
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Keywords | 血小板 / α_2-アドレナリン受容体 / 血小板凝集 / 炎症 / 脳 |
Research Abstract |
本研究では、イヌ血小板凝集に関与するα-アドレナリン受容体(α-AR)作動薬・遮断薬の薬理学的性質を調べ、さらに炎症時におけるα2-AR受容体作動薬・遮断薬の血小板凝集能と血小板・脳のα2-AR活性に与える影響を検討した結果、以下の成績並びに知見を得た。1.アドレナリン(Adr)のADP凝集促進効果に対する拮抗の検討では、イミダゾリンまたは非イミダゾリン誘導体のα2-AR遮断薬は凝集反応を抑制したが、非イミダゾリン誘導体のα1-AR遮断薬とβ-AR遮断薬には凝集抑制がなかったことから、AdrのADP凝集促進作用はα2-ARを介すると考えられた。2.α-AR作動薬でも、イミダゾリン誘導体の薬物(クロニジン、トラマゾリンなど)はAdrの凝集促進効果を抑制したが、非イミダゾリン誘導体の薬物(フェニレフリン、メトキサミンなど)には顕著な凝集抑制効果はなかった。α2-ARへの作用がないイミダゾリン誘導体のアンタゾリンでもAdr-ADP凝集を抑制し、さらにメデトミジンはアチパメゾールのAdr-ADP凝集抑制を解除しなかった。このことより、α2-ARとは別の新たなイミダゾリン受容体がイヌ血小板に存在し、凝集抑制に関与している可能性が示唆された。3.イヌ後肢皮下へカラゲニンを投与し、軽度な炎症性浮腫を惹起させた後、10日目に[^3H]-ヨヒンビンを用いたRRA法を行った成績では、炎症前と後で血小板、脳膜のいずれでもα2-ARの数と親和性に有意差なかった。また、α2-AR活性の機能的評価として、Adrの血小板凝集促進能とそれに対するヨヒンビンの凝集抑制能、キシラジン投与後の鎮静・徐脈効果をそれぞれ炎症前と後(10日目)で比較した結果、明らかな差異は見られなかった。従って、軽度で比較的短期の炎症性浮腫ではイヌ血小板と脳のα2-AR活性に影響しないことが判った。今後、炎症の程度およびさらに長期の慢性炎症の影響を詳細に検討する計画である。
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