1994 Fiscal Year Annual Research Report
低MgATPや高MgADP環境で骨格筋線維の収縮制御がはずれるのはどうしてか?
Project/Area Number |
06770037
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20179675)
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Keywords | 骨格筋 / 収縮制御 / スキンドファイバー |
Research Abstract |
生理的な三次元構築を保った骨格筋スキンドファイバーで、活性化を修飾する生理的因子であるカルシウムイオンとアクトミオシンクロスブリッジ、筋節長の間の相互作用を検討した。 カルシウムイオンがなくても、MgATPよりも過剰のMgADPがあると骨格筋スキンドファイバーを収縮した。MgADPが結合したミオシン頭部がアクチンと作る強いクロスブリッジが制御を外し、MgATPを結合したミオシン頭部が収縮サイクルにはいると考えられる。この過剰のMgADPによる収縮は、たとえばカルシウムイオンなしで筋節長を2.8μmに引き伸ばしたときと、筋節長を2.5μmのままにカルシウムイオン濃度を10^<-6.5>M程にしたときとでほぼ同じだった。すなわち活性化に対する過剰MgADP、カルシウムイオン、筋伸展の効果はいずれも独立でない。MgADPが枯渇しそうな濃度も収縮を起こすが、この収縮も筋節長を伸ばすと起こりやすくなった。 さらに張力発生から評価した協同性(ヒル係数)はカルシウムイオンにより活性化するときと過剰のMgADPで活性化するときでその筋節長依存性までよく似ていた。これはカルシウムイオンによる活性化と、過剰のMgADPによる活性化が緊密に関係していることを示唆する。 過剰なMgADPにより活性化されて収縮しているスキンドファイバーのX線回析は低MgADP濃度で活性化しているときと同様に硬直性クロスブリッジを主体としたパターンを示した。ただし5.9nmのアクチン層線の強度分布はカルシウム収縮に近く、この強度分布が硬直クロスブリッジに特徴的なものではないことが示された。
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