1994 Fiscal Year Annual Research Report
老年者の高血圧および起立性低血圧の発生機序における交感神経活動の役割
Project/Area Number |
06770052
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松川 俊義 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (60252293)
|
Keywords | 加齢 / 動脈圧受容器-心拍数反射 / 筋交感神経活動 / マイクロニューログラフィ / バルサルバ試験 |
Research Abstract |
本研究は動脈圧受容器-交感神経反射機能に及ぼす加齢の影響およびその安静時交感神経活動との関係を明らかにすることを目的とした.16〜80歳の異なる年齢層の健常人を対象とした. 1)マイクロニューログラフィを用いて筋交感神経活動を測定し,血圧上昇作用あるいは下降作用を有する薬物負荷により血圧を上昇または下降させた時の心拍数および筋交感神経活動の反応を観察した.その結果,動脈圧受容器-心拍数反射機能は血圧上昇時,降圧時とも加齢によって減弱した.一方,動脈圧受容器-筋交感神経反射機能は血圧上昇時,降圧時とも年齢との間に有意な相関を示さなかった.安静時交感神経活動は加齢とともに亢進したが,動脈圧受容器-交感神経反射機能との間に相関を示さなかった. 2)圧受容器は一定の血圧値に反応(steady-state response)するだけでなく,1心拍ごとに血圧の立ち上がりにも応じて反応(dynamic response)するのでバルサルバ試験を負荷した際の平均血圧の変化に対するRR間隔および筋交感神経活動面積の変化について解析した.その結果,動脈圧受容器-心拍数反射機能のsteady-state responseは老年者で減弱したが,dynamic responseは減弱していなかった.一方,動脈圧受容器-交感神経反射機能はsteady-state response,dynamic responseとも老年者でも保たれていた. 本研究により動脈圧受容器-心拍数反射機能は加齢により減弱するが,70歳以上の老年者でも動脈圧受容器-交感神経反射機能が比較的よく保たれていることが明らかとなった.また,動脈圧受容器反射機能のsteady-state responseとdynamic responseを若年者と老年者で比較すると,老年者では圧受容器反射機能のdynamic responseは心拍数反射および筋交感神経反射においてもよく保たれていることがわかった.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 松川俊義,杉山由樹,間野忠明: "ヒトの圧受容器反射機能に及ぼす加齢の影響 -マイクロニューログラフィを用いた研究-" 名古屋大学環境医学研究所年報. 46. 239-244 (1995)
-
[Publications] 松川俊義,杉山由樹,渡辺丈眞 外: "高齢者における圧受容器反射機能 -Valsalva試験を用いた検討-" 名古屋大学環境医学研究所年報. 46. 245-250 (1995)
-
[Publications] MATSUKAWA Toshiyoshi et al.: "Effects of aging on the arterial baroreflex control of muscle sympathetic nerve activity in healthy subjects." Environmental Medicine. 38(1). 81-84 (1994)
-
[Publications] 松川俊義,間野忠明: "悪性高血圧患者における交感神経活動の亢進-マイクロニューログラフィを用いた研究-" 名古屋大学環境医学研究所年報. 45. 231-234 (1994)
-
[Publications] MATSUKAWA Toshiyoshi et al.: "Effects of aging baroreflex control of muscle sympathetic nerve activity in normal humans." The Japanese Juornal of Physiology. 44. S242- (1994)