1994 Fiscal Year Annual Research Report
表皮細胞に存在するCキナーゼアイソザイムの同定及び細胞内情報伝達機構における役割
Project/Area Number |
06770074
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西川 喜代孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40218128)
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Keywords | 発癌プロモーション / Cキナーゼ / アイソザイム / 内在性基質蛋白 / 培養表皮細胞 / 細胞内情報伝達 / リン酸化 |
Research Abstract |
強力な発癌プロモーターであるphorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)は、Cキナーゼ(PKC)を活性化することが知られており、PKCを介する細胞内情報伝達機構の異常が発癌プロモーション過程に重要な関わりを持つと推察されている。PKCはその構造上の違いからconventional PKC(cPKC),novel PKC(nPKC),atypical PKC(aPKC)の3つのグループに大別されている。これらアイソザイムの局在性は臓器や細胞種によって異なっており、各々が異なった役割を果たしていると考えられている。我々は既にマウス皮膚2段階発癌実験の標的細胞と考えられる初代培養表皮細胞を用い、cPKC及びnまたはaPKC各々の内在性基質蛋白を見い出している(K.Nishikawa et al.,Cell.Signal.,4,1992,757-776)。本研究では、これら内在性基質蛋白のリン酸化に関与するPKCアイソザイムを同定し、さらに発癌プロモーション過程における各PKCアイソザイムの役割を解明することを目的とする。その結果、この細胞にはcPKCに属するPKCα,nPKCに属するPKCη,及びaPKCに属するPKCζの3種のPKCアイソザイムが存在すること、そのうちPKCζが最も豊富に存在することがアソザイム特異的抗体を用いたウエスタンブロット法により明かとなった。さらに我々が無傷細胞でnまたはaPKCの基質として見い出した、KP-10蛋白について部分精製を行い、表皮細胞由来の各PKCアイソザイム標品を用いてin vitroリン酸化による検討を行った結果、KP-10蛋白はPKCη及びPKCζの基質として働き得ることが明かとなった。これらの結果は、表皮細胞をPMAで刺激したときには複数のPKCアイソザイムが活性化し、各々が固有の基質蛋白をリン酸化することにより、細胞内情報伝達機構に関与していることが明らかとなった。
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[Publications] K.Nihsikawa,et.al: "KP-10,a novel protein kinase C substrate in intact mouse epidermal cells,is phosphorylated by novel protein kinase Cη and/orζ" Cellular Signalling. 6. 503-512 (1994)