1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770124
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
九嶋 亮治 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40252382)
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Keywords | 消化管 / 内分泌細胞腫瘍 / カルチノイド / 内分泌細胞腺癌 / ras遺伝子 / p53遺伝子 / PCR / 大腸癌 |
Research Abstract |
消化管内分泌細胞腫瘍は悪性度の低い古典的カルチノイドと内分細胞癌(ECC)に分けられる。今年度は大腸カルチノイドとECCを対象として、大腸の腺腫や腺癌で高頻度に異常が確認できるrasとp53遺伝子の異常を検索した。(方法)大腸カルチノイドの内視鏡的切除標本13例、ECCの外科切除標本(一部は東京慈惠医大から供与)と剖検材料10例、対照として大腸腺腫と腺癌をそれぞれ20例用した。ホルマリン固定パラフィン包理標本より連続薄切切片を作成し、HE染色とp53蛋白(DO7)染色を施行した。また薄切切片よりDNAを抽出し、K-rascoclon12をはさむ領域をPCR法により増幅し、clot blot法にて突然変異を検索した。(まとめ)p53蛋白は腺癌の60%、高異型度腺腫の30%の症例でdiffuseに陽性所見を認めた。ras遺伝子の異常は腺癌の35%、腺腫の30%の症例で認められた。一方、カルチノイドではp53陽性細胞がsporadicに存在するものが2例あったが、diffuseに陽性所見を示すものではなかった。ECCでは20%の症例でdiffuseに陽性所見を認めた。またras遺伝子の変異は確認できなかった。大腸カルチノイドやECCは腺腫や腺癌と発生母地は同一とされているが、発生にはこれらの遺伝子異常の関与は弱いものと推察される。また、ECCの一部はカルチノイドからp53遺伝子の異常を伴って発生し、また一部は腺癌の異分化として発生する可能性が示唆された。 また、我々は70歳女性で盲腸に原発、急速に進行し不良な転帰をとったECCの症例を経験し、p53蛋白のdiffuseな発現を証明し、論文で報告した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 呉 利波: "大腸カルチノイドのras、p53遺伝子の異常について" 第84回日本病理学会総会誌. (印刷中). (1995)
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[Publications] 梅田朋子: "p53癌抑制遺伝子蛋白の発現をみた盲腸原発内分泌細胞癌" 日本消化器外科学会雑誌. (印刷中). (1995)
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[Publications] R.KUSHIMA: "Oven-expression of p53 proteen in ganltic caruinonas:nelationship with developveut,progression and mucin-histschemial diffenentialion" The Camen Jounal. 7. 192-197 (1994)
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[Publications] 九嶋亮治: "胃癌の発生・文化・進展とp53遺伝子蛋白発現の関連" 消化器癌. 4. 139-145 (1994)
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[Publications] 服部隆則: "胃型腺癌の組織発生と遺伝子異常" 病理と臨床. 13. 45-51 (1994)
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[Publications] 河崎千尋: "大腸印環細胞癌の生物学的特性に関する検討" 日本大腸肛門病学会誌. 47. 476-484 (1994)
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[Publications] 九嶋亮治: "消化管症候群(担当者:「ポリ-プ癌・過形成ポリ-プに発生する腺癌」)" 日本癌床社(丹羽寛文編), 530-532 (1994)