1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子異常の検索による乳腺の嚢胞内乳頭状病変の術前診断
Project/Area Number |
06770143
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
津田 均 国立がんセンター, 研究所病理部, 研究員 (70217321)
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Keywords | 乳がん / 良悪性診断 / 染色体欠失 / 乳管内乳頭腫 / 穿刺吸引細胞診 |
Research Abstract |
11例の良性乳頭腫ならびに18例の嚢胞内乳頭がんからなる乳腺の嚢胞内乳頭状腫瘍29例の腫瘍および非腫瘍組織からDNAを抽出し、第16染色体長腕(16q)における対立遺伝子の欠失の有無をサザンブロット法にて検索した。嚢胞内乳頭がんでは71%(12/17)の症例に16qの欠失がみられたのに対し、乳頭腫には欠失は検出されなかった。このように嚢胞内乳頭状腫瘍の良悪性判定に16qの欠失の検索が有用である可能性が高いことがわかった。そこで、より微小量の検体から16qの欠失を検出するために、微小量のDNAから16q上で可変性が高いAC反復配列領域をPCR法を用いて増幅し、ゲル電気泳動によって欠失の有無を検索する方法を確立した。そして40例の乳腺腫瘍の切除標本から穿刺吸引細胞診と同様の方法で少量の腫瘍細胞を吸引し、それらの細胞から得られたDNAに対して上記の方法で16qの欠失を検索した。16q24領域に位置するD16S305の部位において34例でPCRによるDNAの増幅が可能であり、そのうち17例で欠失に関する情報が得られた。乳がん症例では14例中10例(71%)で16qの欠失がみられたが、良性腫瘍3例には欠失はみられなかった。これらの結果は組織から抽出したDNAを用いたサザンブロット法による解析結果と一致した。この検討は切除標本を用いたいわば模擬的な検討であるが、同様の方法を術前の細胞診標本に応用することにより、術前の乳腺腫瘍の良悪性補助診断が可能と考えられた。さらに多数の染色体領域を多数の症例で検討することにより、細胞診検体を用いた16qの欠失の検索が術前の補助診断としてどこまで有用かを明らかにしていく予定である。
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[Publications] H.Tsuda,et al.: "Different incidence of loss of heterozygosity on chromosome 16q between intraductal papilloma and intracystic papillary carcinoma of the breast." Jpn.J.Cancer Res.85. 992-996 (1994)
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[Publications] H.Tsuda,et al.: "Pattern of gene alterations in intraductal breast neoplasms associated with histological type and grade." Clin.Cancer Res.1. 261-267 (1995)