1994 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞の増殖・分化に対する神経成長因子(NGF)の影響-mi/miミュータントマウスによる解析-
Project/Area Number |
06770155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
實寶 智子 大阪大学, 医学部, 助手 (70252658)
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Keywords | マスト細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 神経成長因子 / mi / miミュータントマウス / mi / mi転写因子 / p75 NGFレセプター / マスト細胞プロテアーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的は、mi/miマウスにおけるマスト細胞の減少と分化異常にNGFとNGFレセプターを介したシグナル伝達が関係しているかどうかを調べることにある。マウスの脾細胞をインターロイキン(IL-3)の存在下で培養すると培養マスト細胞(CMC)を得ることができる。正常マウスとmi/miマウスのそれぞれから得たCMCをIL-3に種々の量の神経成長因子(NGF)を加えてメチルセルロース培地中で培養して経時的に出現するコロニー数を数えて、NGFの増殖能に対する影響を調べた。その結果IL-3存在下でNGFを50,500ng/ml加えて2週間および3週間培養すると、+/+CMCに比べてmi/miCMCは出現するコロニーの数が減少していた。次に、IL-3存在下でNGFを加えて培養したときにヘパリンの含有量が増えてベルベリンに対する染色性が増加するかどうかを調べた。その結果、+/+CMCはNGFの添加量に比例して染色性が増加するのに対してmi/miCMCは増加しなかった。また種々のマスト細胞特異的プロテアーゼの発現を調べると、マウスマスト細胞プロテアーゼ6の発現はNGFを加えると+/+CMCでは増加したがmi/miCMCでは増加しなかった。このように+/+CMCに比べてmi/miCMCのNGFに対する反応性が低いのはNGFの結合能が低いせいではないかと考えて^<125>IでラベルしたNGFの結合能を調べた。その結果、+/+CMCに比べてmi/miCMCのNGF結合能は低下していた。NGFに対する2種類のレセプターであるp75およびp140遺伝子の発現を調べるとp140の発現は+/+CMCとmi/miCMCでは差がなかったが、p75遺伝子の発現は+/+CMCに比べてmi/miCMCでは低下していた。以上の結果から、mi/miCMCにおいてNGFに対する反応性が低いのはNGFレセプターであるp75遺伝子の発現が低下しているためであることと、NGFに対する反応性の低下はmi/miマウスにおけるマスト細胞分化異常の一因になっていることが考えられた。
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Research Products
(1 results)