1994 Fiscal Year Annual Research Report
一本鎖DNA電気泳動法を用いた進行性筋ジストロフィーの遺伝子解析と保因者診断
Project/Area Number |
06770168
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平石 佳之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30255434)
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Keywords | 電気泳動 / Duchenne型筋ジストロフィー / Becker型筋ジストロフィー / 遺伝子欠失 / 遺伝子重複 / ジストロフィン / RFLP / 保因者診断 |
Research Abstract |
1)今回開発した“一本鎖DNA電気泳動法"の有効性を確かめるために、Duchenne型またはBecker型筋ジストロフィー(DMD/BMD)の、遺伝子欠失または重複を有する患者27例を解析した。本法によって大きな遺伝子変異を有するDMD/BMD患者の約80%に、ジャンクションフラグメントを検出できることを確認した。2)DMD/BMD患者90例についてジストロフィンcDNAプローブを用いたサザンブロット解析を行って、異常が検出されなかった15例を対象とした。対象はDMD/BMDの約30%を占める現在原因不明とされる患者群であり、その原因の一つとして遺伝子部分逆位、イントロン内の部分欠失、部分重複の可能性が想定されている。もしこれらの遺伝子変異が存在すれば、“一本鎖DNA電気泳動法"によってジャンクションフラグメントとして検出可能である(検出率約80%)。この15例について4種の制限酵素と全長cDNAプローブ(1-2a,2b-3,4-5a,5b-7,8,9,10,11,12)を用いて、“一本鎖DNA電気泳動法"によるジャンクションフラグメントの検出を試みた。その結果遺伝子変異のために生じたジャンクションフラグメントと考えられるユニークなサイズのバンドが、制限酵素EcoRVとcDNA8プローブを用いた解析で1例に検出された.今後この症例についてcDNA8領域のDNAクローンを分離し、塩基配列決定等の方法で変異の様式を明らかにする。他にいくつかのバンドパターンの変化が認められたが、ユニークなサイズの変化ではなく、制限酵素断片長多型(RFLPs)と考えられた.正常対照13名の解析を加えて、5種類の新しいRFDLPsが確認された。今回の対象となった15例の家系では、現時点で明らかな遺伝子変異が発見されていないので、これらのRFLPsによってはじめて保因者診断が可能となった。
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