1994 Fiscal Year Annual Research Report
トリパノソーマ感染宿主細胞のCa^<2+>動態と細胞内情報伝達系の解析
Project/Area Number |
06770192
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
嶋田 淳子 順天堂大学, 医学部, 助手 (20211964)
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Keywords | トリパノソーマ / カルシウムイオン / fura-2 / 宿主細胞 |
Research Abstract |
1.Trypanosoma cruziとHeLa細胞を宿主細胞としたin vitro感染モデル系を確立したので、このモデル系を、顕微分光システムで測定できるよう改変した。Poly-L-lysineであらかじめcoatingしたカバーグラスを60mmシャーレに入れ、対数増殖期のHeLa細胞(5 x 10^3 cells/ml)を5ml分注し、2日後に、感染培養細胞上清から得たトリポマスティゴ-ト(5 x 10^4 cells)を感染させた。 2.カルシウム濃度測定用ケイ光指示薬であるfura-2をHeLa細胞に導入する方法を検討した。Fura-2のアセトキシメチル体であるfrua-2AMは哺乳類細胞に取り込まれやすく、細胞内のエステラーゼによりfura-2に変換されることが知られている。そこで、fura-2 AM (1μM)をT.cruzi感染HeLa細胞または非感染細胞に導入し、37℃で45分間インキュベートした。HeLa細胞に取り込ませたfura-2-AMは、この条件でfura-2への変換が起こっていることを確認した。 3.高感度ケイ光顕微分光システムに画像解析システムを連結した装置を用い、T.cruzi感染HeLa細胞または非感染細胞内の遊離カルシウムイオン濃度([Ca^<2+>]_i)を定量した。各々50個の細胞について[Ca^<2+>]_iを測定したところ、非感染細胞は通常の哺乳類[Ca^<2+>]_iと同レベルの115±8nM、感染細胞では304±28nMであり、約2.6倍感染細胞の方が高い値を示した。以上より、T.cruziの感染により宿主細胞のCa^<2+>動態が変化していることが明らかとなり、感染宿主細胞および宿主内原虫の情報伝達系への影響に興味がもたれる。 今年度は当初の研究実施計画の95%が達成された。
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Research Products
(1 results)