1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 里史 東京大学, 医学部(医), 助手 (70217644)
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Keywords | 疫学 / 曝露評価 / 室内汚染 / カビ / ダニ |
Research Abstract |
近年、わが国では鉄筋鉄骨のマンションに代表されるように機密性の高い住居が増えてきている。それに伴い開放型燃焼暖房器具による汚染や、ダニ、カビといった生物的な汚染が問題となってきている。生物的な汚染については、わが国よりも湿度の低い欧米において、家庭内のカビにより呼吸器症状有症率が増加することが報告され始めてきている。とすれば、わが国でもカビの存在は、これまでにも報告されているダニと同様に、健康影響に対して大きな役割を果しているのではないかと思われる。しかしわが国において、家庭内のカビの発生状況、および呼吸器への影響に焦点を当てた研究はない。これより本研究では、カビの健康影響ひいては換気・湿度対策に対する研究の基礎データとすることを目的とし、機密性の高いマンションを中心に、家庭内のカビの存在と学童の呼吸器症状との関連を質問紙を用いて調べようとした。 疫学調査を行うことを念頭において、家庭内でのカビ濃度を定量的にす把握するよい方法がこれまでなかったため、本研究では、欧米の研究で見られるような定性的な曝露評価を行い、呼吸器症状との関連性を探ろうとしたのである。しかし、日常生活を妨げることなく、また疫学調査で必要な数多くのデータを集めることのできる可能性のあるカビセンサーの存在が明らかとなった。そこで、呼吸器症状調査を行うより前に、カビ等による生物汚染の実態を把握することが必要であると考え、カビセンサーおよび国立環境研究所所有のポ-タブル粉じんサンプラーを用いた、カビ・ダニ濃度測定を行うこととした。そして得られた結果に関しては、両者の濃度の関係、室内の温湿度との関連性、部屋の違いによる汚染の程度の差を探ることとした。現在、首都圏のマンションを対象として測定を実施中である。
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