1994 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮細胞の補体産生能と補体制御蛋白発現におけるサイトカイン制御機構の解明
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06770363
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90252395)
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Keywords | サイトカイン / 補体 / 腸管上皮細胞 |
Research Abstract |
本研究は、腸管上皮細胞における補体成分(C3,C4,factorB)の産生と補体制御蛋白decay acceralating factor(DAF)発現の総合的サイトカイン制御機構を明らかにすることを目的として開始した。腸管局所において上皮細胞に由来する補体蛋白は、上皮細胞自身にも細胞障害性に働くと考えられるが、上皮細胞はそのapical surface DAFを発現することにより補体成分の活性化から自身を防御していると考えられる。本年度の研究により、我々は腸管上皮細胞における補体成分産生とDAF発現の総合的サイトカイン制御について、蛋白およびmRNA発現レベルの検討を行った。今回の検討を開始するに当たり、まず、ヒト血管内上皮細胞のtotal RNAからヒトDAF cDNAをcloningし、その塩基配列を決定、ヒトDAF cDNA probeを作成した。 本年度の研究において、我々は、IL-4に特異的な補体活性化からの防御機転誘導作用を見い出した。すなわち、IFN-γは腸管上皮細胞からのC4,factorBの産生を誘導するが、IL-4はこの補体産生誘導効果を濃度依存性に抑制した。さらに、補体制御蛋白DAFの発現に対しては、IL-4は濃度依存性にその発現を増強した。これらのIL-4の効果はmRNAレベルでも確認され、しかも、pretranslationな段階での制御であった。これらの知見は、腸管局所においてIL-4が異なった機序により、上皮細胞を自身に由来する補体成分の活性化から防御していることを示唆する。すなわち、IL-4は、(1)補体成分の産生をnegativeに制御し補体の過剰活性化を抑制し、(2)補体制御蛋白の発現増強により上皮細胞上での補体の学的にかを抑制している。これらの補体活性化からの防御機転は、他の細胞での報告も見られず、IL-4の新たな抗免疫炎症作用と考えられる。 今回我々の見い出したIL-4による補体活性化の制御機構の異常が、病因が未だ明らかにされていない潰瘍性大腸炎の病態に関与している可能性が示唆され、現在検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 住吉健一: "IL-4による腸管上皮細胞からのMHC classIII遺伝子蛋白産生の制御" 消化器と免疫. 29. 80-83 (1994)
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[Publications] 藤山佳秀: "粘膜上皮細胞とサイトカイン産生能" 炎症と免疫. 2. 523-528 (1994)
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[Publications] 藤山佳秀: "粘膜上皮細胞とAPC機能" 炎症と免疫. 2. 529-534 (1994)
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[Publications] Takaaki Ohtsuki: "Characteristics of asparate aminotransferase binding immunoglobulin determined by the isotope method" The Journal of Laboratory and Clinical Medicine. 124. 218-223 (1994)