1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝疾患における好酸性封入体を有する類洞内皮の出現とその臨床病理学的意義
Project/Area Number |
06770368
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
岩村 伸一 高知医科大学, 第一内科, 助手 (00203406)
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Keywords | indusion-containing endothelial cell / 類洞内皮 / globulin / 慢性肝炎 / 肝生検 |
Research Abstract |
【目的】ウイルス性肝炎などの肝疾患において、胞体内の封入体様の小円形顆粒を有する類洞内皮細胞(inclusion-containing endothelial cell,以下ICEC)が高頻度に出現することを我々は報告してきたが、その機能的意義は不詳であった。今回は顆粒内の免疫globulinの局在、および血清γglobulin値と小葉内ICEC分布密度の相関について検討した。 【対象および方法】肝針生検604例を対象とした。内訳はB型慢性肝炎108例、C型慢性肝炎404例、自己免疫性肝炎8例、PBC27例、急性肝炎回復期17例、アルコール性肝疾患18例、過栄養性脂肪肝17例、薬剤性肝障害5例である。ホルマリン固定パラフィン包埋HE染色にて小葉内ICEC密度を(-)から(3^+)まで4段階にgradingした。免疫染色は脱パラフィン、pronase処理後、LSAB法により行った。 【結果】ICECは慢性活動性肝炎では約50%の陽性率を示し、ICEC陽性例は血清γglobulin値が高い傾向にあり、特にC型慢性肝炎では小葉内ICEC密度と有意に相関する。一方、他の肝疾患ではICEC出現率は低い。また初回生検で多数のICECが観察されたγglobulin高値の自己免疫性肝疾患2例は、ステロイド治療後γglobulin著減した時点での生検でICECはいずれも完全に消失していた。免疫染色ではICECの顆粒にはIgG、IgA、IgM、κおよびλ軽鎖が陽性であったが、補体は陰性であった。 【結論】肝類洞内皮細胞は血中の免疫globulinを摂取する。過剰の摂取では、胞体内に特徴的な顆粒が形成され、光顕上ICECとして認識される。顆粒内で免疫globulinは代謝され、血清γglobulin値低下に伴い顆粒は消失すると考えられる。初めて明らかにされたこの類洞内皮細胞の機能は、肝病態生理を理解する上で重要な知見と考えられる。
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Research Products
(1 results)