1994 Fiscal Year Annual Research Report
Immuno-PCR法を応用した血中超微量PIVKA-IIの検出
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06770381
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
辻井 啓之 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (60227402)
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Keywords | Immuno-PCR / PIVKA-II |
Research Abstract |
肝細胞癌の腫瘍マーカーとして測定されているPIVKA-IIは、同じ肝細胞癌の腫瘍マーカーであるα-fetoproteinに比べて特異性が高いことが知られている。しかし、現在の検出系ではまだ陽性率が低く、感度の点で問題が残されている。私は、Sano.Tら(Science 258:120-122,1992)の開発した、超微量な蛋白の検出を可能とするimmuno-PCR法を基礎として一部修正を加えた Ruzickaら(Science 260:699-670,1993)による方法を応用することにより、ELISA法の延長線上では期待できないPIVKA-II検出系の感度の大幅な向上を試みた。【方法】1)PIVKA-II標準抗原(8AU/ml)の段階希釈系列をサンプルとしてELISA用plateに固相化する。2)抗PIVKA-IIモノクローナル抗体を反応させる。さらにビオチン化抗マウスIgG抗体、アビジン、ビオチン化DNA(λDNA塩基配列の7131〜7630の500bp)を加え、plate上に[抗原-抗体-ビオチン化抗体-アビジン-ビオチン化DNA]結合反応を完成させる。3)上記ビオチン化DNAの一部を特異的に増幅するプライマーを用いて、マイクロプレート用サーマルサイクラ-にてPCRを行なう。4)アガロースゲル電気泳動を行なって、増幅されたDNA断片をエチジウムブロマイド染色により検出する。以上より本法の検出感度を確認した。【成績】PIVKA-II標準抗原(8AU/ml)の10^<-10>希釈検体まで、エチジウムブロマイド染色により検出が可能であった。現在のPIVKA-II検出系のカットオフ値は0.1AU/mlであるが、今回の検討ではその約10^<-9>の濃度、すなわちfemtogram/mlの単位まで検出が可能であった。今後、従来高いとされているPIVKA-IIの肝細胞癌に対する特異性について、現在のカットオフ値よりはるか微量のレベルにおいてはどうであるか、正常人および慢性肝疾患患者、肝細胞癌患者の間で検討を行う予定である。なお、現在までの本研究の成果は、第5回臨床化学会近畿支部総会シンポジウム(高感度測定技術の進歩)において口演発表を行った。
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