1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770403
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
鳥居 信之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70241073)
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Keywords | B型肝炎ウィルス / 慢性肝炎 / インターフェロン |
Research Abstract |
10例のB型慢性肝炎患者を抽出し、インターフェロンの有効であった6例と無効4例について、HBVのプレコア領域のRNAが形成するencapsidation signalに着目しインターフェロン投与前後でその遺伝子配列がどのように変化するか、また、インターフェロン有効例と無効例で、投与前の塩基配列にそれぞれ特徴があるかどうかについて検討を加えた。各症例において、インターフェロン投与前後で血清を採取し、DNAを抽出した後、PCRを行い、さらにその産物をdirect sequence法によって、遺伝子配列の解析を行った。その結果、インターフェロンが有効であった群においては、投与前には野生株であったものが、肝炎が鎮静化するに伴い、nt.1848,nt.1852,nt.1860にそれぞれA to T,T to A,T to Cの変異が同時に出現した。この変化は、6例中5例に認められた。検討した患者は、血清学的には、いずれもadrであった。プレコアに終止コドンを生じるnt.1898のG to A変異は、やはり6例中5例に認められたが、このうち4例は、インターフェロン投与前よりnt.1898のG to A変異が野生株と混在する症例であった。一方、インターフェロン無効例では、nt.1848,nt.1852,nt.1860の変異は認められないか、あっても一部が認められるだけで、この3ケ所に同時に変異が認められたのは有効例のみであった。またnt.1898のG to A変異は無効例4例中1例に認められた。これらのことより、インターフェロン有効例では、投与前からnt.1898のG to A変異が野生株に混在し、投与後にnt.1848,nt.1852,nt.1860の3ケ所同時にそれぞれA to T,T to A,T to Cの変異が起こることが解かった。このことから、インターフェロンの有効症例は、nt.1898のG to Aが混在する株であること、またインターフェロンが奏効するときプレコア領域のある変異が高率に起こることが明らかになった。
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