1994 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧自然発症ラットで同定された変異低親和性神経成長因子受容体遺伝子の機能解析
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06770502
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
根本 清光 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (90189366)
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Keywords | 本態性高血圧 / 高血圧自然発症ラット / 疾患遺伝子 / 低親和性神経成長因子受容体 / 遺伝子変異 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
〈目的〉 本研究者は、ヒト本態性高血圧症の遺伝的モデル動物である高血圧自然発症ラット(SHR、SHRSP)の低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)遺伝子にアミノ酸置換を伴う点突然変異があることを見出した。本研究では、変異LNGFR遺伝子が本態性高血圧発症の原因遺伝子の一つとなりうるかを評価するために、SHR/SHRSPの変異LNGFR遺伝子を培養細胞で強制発現させる系、および、ラットLNGFR遺伝子からSHR/SHRSPと同様の変異を簡便に見出す方法の確率を行った。 〈結果〉 1.変異を有しているSHR/SHRSPタイプのLNGFR遺伝子とWKY(SHR/SHRSPの対照正常血圧ラット)由来の正常LNGFR遺伝子を真核細胞発現ベクター(pRC/CMV)の転写プロモーター(サイトメガロウイルスのプロモーター)下流に挿入したキメラ遺伝子を作成した。これを、LNGFRの発現が見られないマウスL細胞およびサル由来COS細胞に導入し、安定に、LNGFR遺伝子の発現が見られる形質転換細胞を得た。 2.SHR/SHRSPのLNGFR遺伝子の変異は、その遺伝子産物のシグナルペプチドをコードする領域に位置し、ゲノムにおいてエクソン1に存在する。このエクソンを挟むように、プライマーを合成し、PCR法を用いたダイレクトシーケンス法を確立し、変異を簡便に見出すことが可能となった。 〈今後の予定〉 今回得たLNGFR遺伝子の発現細胞を用い、LNGFR遺伝子産物の細胞膜への発現効率等を検討し、変異LNGFR遺伝子産物の生化学的異常を評価する。また、変異を簡便に見出す方法を用い、他の高血圧発症ラットでのLNGFR遺伝子の変異の有無、SHRあるいはSHRSPと正常血圧ラットとの交配実験を行い、LNGFR遺伝子の変異が高血圧発症に連鎖するか否かの検討を行う。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Nemoto: "Mutation of low affinity nerve growth factor receptor gene in spontaneously hypertensive and stroke-prone spontaneously hypertensive rats:One of the promising candidate genes for hypertension." Brain Res.655. 267-270 (1994)
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[Publications] K.Nemoto: "Nucleotide sequence analysis of protein kinase Cα and low affinity nerve growth factor receptor genes in SHRSP" Jpn.Heart J.35. 542 (1994)
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[Publications] 上山敬司: "高血圧自然発症ラット(SHR)の交感神経活性に及ぼす神経成長因子(NGF)の役割" 心臓. 26. 68-70 (1994)