1994 Fiscal Year Annual Research Report
虚血早期の心機能低下における細胞内Ca^<2+>トランジエントの検討
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06770511
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
臼井 俊朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30185011)
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Keywords | 虚血 / 心機能 / 細胞内カルシウム / 細胞内pH / 細胞内ナトリウム / 筋小胞体 / リアノジンチャネル / ナトリウムカルシウム交換系 |
Research Abstract |
虚血早期の心機能低下のメカニズムについては様々な研究が行われているにもかかわらず、未だ一定の見解は得られていない。我々はすでに、虚血早期に左室圧が著明に低下するにも関わらず細胞内Ca^<2+>トランジエントは虚血後も保たれていることを確認した。つまり細胞内Ca^<2+>トランジエントの低下が心機能低下の原因ではないことが考察された。 そこで今回の我々の実験の目的は、摘出灌流心に蛍光指示薬を負荷する方法により、細胞内Ca^<2+>の変化をその起源という点から、1)筋小胞体からのCa^<2+>、2)細胞外からのNa^+/Ca^<2+>交換系を介するCa^<2+>についてその阻害薬を用いて検討することであった。 今回の研究の結果、1)コントロール群における虚血時の細胞内pHの変化については、虚血直後、一過性にアルカロ-シスを示し、虚血1〜2分後より急激に低下を認めアシドーシスを示した。虚血時の細胞内Na^+の変化については、虚血直後急激に上昇し、その後は緩慢な上昇を認めた。2)リアノジン(筋小胞体Ca^<2+>チャネル阻害薬)投与により細胞内Ca^<2+>トランジエントは著明に低下し、心機能も著明に低下した。3)NiCI(細胞膜Na^+/Ca^<2+>交換系阻害薬)投与により細胞内Ca^<2+>トランジエントは軽度低下し、心機能も低下を認めた。 以上の結果より、心機能及び細胞内Ca^<2+>トランジエントにおける筋小胞体のCa^<2+>チャネルの関与はもちろん、細胞膜Na^+/Ca^<2+>交換系阻害薬の関与も示された。ただし虚血早期の心機能低下に関しては、細胞膜Ca^<2+>トランジエントの変化よりも細胞内Ca^<2+>に対する感受性の変化(特に細胞内pHの関与)が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 臼井俊朗,他: "非観血的24時間モニタリングによる血圧日周リズムの検討" 医学のあゆみ. 146. 661-662 (1988)
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[Publications] Usui T,et al: "Acid base changes in ischemic myocardium and intervention with hypothermia or bicarbonate" Jpn.Crinic.J. 52. 638-645 (1988)
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[Publications] 臼井俊朗,他: "Effect of mexiletine on reperfusion arrhythmia" J.Mol.Cell.Cardiol.23-2. S49 (1991)
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[Publications] Usui T,et al: "A case of terminal lipoma treated by endoscopic polypectomy." Dig,Endosc.4-2. 171-175 (1992)
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[Publications] 臼井俊朗,他: "Preconditioningの機序としてのH^+産生の関与" 医学のあゆみ. 162. 953-954 (1992)
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[Publications] Usui T,et al: "An aotopsy case of pseudosarcoma of commoc bile duct" J.Gastroenterol. 29. 525-530 (1994)