1994 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫におけるインターロイキン2受容体発現の意義に関する研究
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06770659
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
江口 弘晃 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90223643)
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Keywords | malignant melanoma / interleukin-2 / interleukin-2 receptor |
Research Abstract |
当科において過去2年間に得られた手術標本(原発巣14例、転移巣14例の計28例)を用い、IL-2R(interleukin-2 receptor)の発現を免疫組織化学的に検討した。原発巣においては0.7%、転移巣においては6.7%の腫瘍細胞が陽性で、転移巣で発現が高かった(P〈0.05)。又、陽性細胞と陰性細胞が混在し、heterogeneityが認められた。この意義を明らかにするため、培養黒色腫細胞(SK-MEL 118,MM96E,A2054)におけるIL-2Rの発現をFACSを用いて検討した。SK-MEL118で約30%、MM96Eで約10%の細胞がIL-2R陽性。A2054は発現せず、細胞毎に発現の程度は異なっていた。この事実はin vivoにおけるheterogeneityを反映するものと考えた。正常リンパ球ではIL-2処理により細胞接着分子発現、細胞増殖能が調節されている。培養黒色腫におけるIL-2処理の影響を検討した。IL-2(100IU/ml,24時間)処理後、培養黒色腫細胞におけるICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)、IL-2R,HLA-DRの発現をFACSにて検討したが、今回用いた細胞ではこれらの分子の発現は変化しなかった。次に^3H-TdRを用い、IL-2の黒色腫増殖能に与える影響を調べた。SK-MEL118はIL-2の濃度依存性に取り込みが増加し、MM96Eでは逆に取り込みが減少した。A2054では取り込みが変化しなかった。従って、IL-2Rを介し黒色腫細胞の増殖が調整されている可能性が示唆された。近年、欧米においてIL-2Rを用いたchemo-immunotherapyが悪性黒色腫患者に対し行われているが、この治療により増殖が促進される黒色腫細胞が存在している可能性がある。黒色腫患者にIL-2R用いた免疫化学療法を行う場合、IL-2R発現の有無を確認する必要があることが明かになった(以上の結果に関しては現在投稿中)。
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