1994 Fiscal Year Annual Research Report
コンピューターおよびフラクタル次元を応用した肺癌診断支援システムの開発
Project/Area Number |
06770726
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
京極 伸介 順天堂大学, 医学部, 助手 (60205028)
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Keywords | lung Ca / helical CT / Fractal / computer |
Research Abstract |
本邦において肺癌は、今や胃癌を抜き、がん死亡原因の第1位を占める疾患となった。肺癌検診の受診率も上昇しているが、胸部単純写真だけでは早期発見は困難な場合が多い。近年、肺癌発見率を上げるため、ヘリカルCTを肺癌検診に応用しようとする試みが一部の施設で行われている。このヘリカルCTは、撮影そのものは極めて短時間ですむものの、全肺野を網羅するための読影に要する労力は逆に増加する。 そこで簡便かつ安価で、能率的でより正確な読影が可能となるようなコンピューターを用いフラクタル次元を応用した肺癌検診支援システムの構築を試み、その有用性を検討した。読影形態としては、従来のフィルム上の読影ではなく、CT装置からコンピューターに転送した画像データを一連の動画として再生するディスプレイ上の読影が中心となる。再生速度は任意に設定でき、読影時間の短縮が可能となり、かつ脈管や気管支などの既存構造の連続性は明瞭となった。また独立性肺野腫瘤性病変に関しても認識率の上昇が期待できた。しかし、今回我々が採用した、ダウンコンバータ-を経たビデオ信号による転送には若干の画像劣化が見られた。今後は転送速度や画質を向上させる方法の検討が必要と思われる。 またここで発見された肺野原腫瘤性病変に関しては、その輪郭をトレースし、フラクタル次元を求め、辺縁の複雑さを数値化した。この段階においても輪郭を抽出するための閾値の決定によって、同一画像でもフラクタル次元が異なってくるため、その設定には注意を要し、さらにCT画像のwindow levelやwindow widthも一定にしておかねばならなかった。 臨床応用には未解決な問題も多く、まだまだ時期尚早と思われるが、今後これらの問題点を解決することにより、肺癌検診の一助となり得る可能性があると思われた。この研究の要旨の一部は第14回日本画像医学会において展示・口演発表した。
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