1994 Fiscal Year Annual Research Report
長期腹膜透析患者における腹膜機能低下の進展機序とその対策に関する研究
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06770879
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山本 裕康 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80211647)
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Keywords | 腹膜機能低下 / 硬化性腹膜炎 / 腹膜中皮細胞 / 腹膜透析液 |
Research Abstract |
長期腹膜透析患者において腹膜機能低下および硬化性腹膜炎の合併がしばしば認められ、透析方法の変更のみならず生命予後への影響も危惧されている。そこで腹膜劣化の進展機序と対策に関する検討を行い、以下の結果が得られた。 1)腹膜中皮細胞の役割について 5/6腎摘-SDラットの腹膜中皮細胞を広範囲に剥離後、高張透析液を用いた腹膜透析を7日間施行し、腹膜機能および形態変化をコントロールと比較検討した。剥離群は非剥離群に比し腹膜透過性の亢進、組織学的な腹腔内臓器の癒着を認めた。剥離群において、高張透析液注入群は非注入群に比しその程度は高度であった。以上より、腹膜中皮細胞は腹膜機能の保持および癒着防止に重要な役割を果していると考えられた。 2)腹膜構成細胞に与える腹膜透析液の影響について 培養腹膜中皮細胞に浸透圧,pHの異なる透析液を添加し、その細胞障害性を検討したところ、高浸透圧,低pHである透析液がより強い障害性を示した。 3)腹膜構成細胞に与えるサイトカイン等の影響について 培養腹膜中皮細胞に対するIL-1の細胞増殖作用に及ぼす腹膜透析液の影響を検討中であるが、高浸透圧刺激がより強い阻害作用を示す傾向にある。 4)培養腹膜中皮細胞に対する保護作用について 各種薬剤について検討中であるが、その保護作用に培養液中のPTHおよび1,25Vit-D濃度が関与している可能性がありさらに検討を行っている。
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