1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内伝達系を賦活化するアンギオテンシンタイプ1レセプターのアミノ酸構造の解析
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06770880
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 裕明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10256464)
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Keywords | 遺伝子多型性 / 遺伝子クローニング / allele specific oligonucleotide / PCR / botto blot法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、AT1レセプターの特定のアミノ酸構造が個々の作用の発現に果たす役割を明らかにすることにより,in vivoにおけるアンギオテンシンIItypelレセプター(AT1)の生理作用および病的意義を解明する端緒とすることに本研究の特色と意義がある。そこでまず、ヒトgenomic DNAを患者血液より抽出し、AT1のアミノ酸の変換をもたらすような遺伝子多型性を検索した。常法に従って、genomic DNAを患者血液より抽出し、これをtemplateとしてPCRによってAT1遺伝子の蛋白コード部位を増幅した。増幅したAT1遺伝子は約1kbであり、予想された結果であった。これをTA vectorを用いてsubcloningしたところ、計算される約1kbのinsertをもつplasmidが得られた。1例から8個のcloneを得、これをもちいて得られたAT1遺伝子の塩基配列をsequenseした結果AT1遺伝子がcloningされたことが確認された。さらに、30例から得られたAT1遺伝子をsequenseした結果、273番目塩基がTからCに置換した遺伝子多型性が30例中6例に認められた。しかし、共通するアミノ酸の変換を導くような塩基配列の多型性は認められなかった。すなわち、今年度の検討結果では、in vivoにおけるAT1の生理作用および病的意義と関連するアミノ酸の変換を導くような塩基配列の多型性は検出できなかった。計画では、検出されたアミノ酸の変換を導くような塩基配列の多型性を検出した後、これをmutagenesisの手法を用いて培養細胞に導入し、その生理的又は病的意義を解析する予定であったが、本年度は、そのようなAT1の遺伝子多型性を検出することはできず、従って、その意義を検討するには至らなかった。 さらに、3′側のsequenceをした結果、最近報告された様な、1166番目のAがCに置換するAT1遺伝子の多型性が検出された。現在、正常人におけるその出現頻度と、腎症の進展とこの遺伝子多型性に関する検討を(アンギオテンシンIIは腎症の進行に重要な役割を果たしている可能性が指摘されているため)、allele specific oligonucleotideを用いたbotto biot法を用いて検討中である。
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