1994 Fiscal Year Annual Research Report
胎児脳神経細胞移動障害の分子機構に関する組織培養免疫組織化学研究
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06770894
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石丸 尚子 京都府立医科大学, 小児科, 助手 (70254357)
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Keywords | 組織培養 / 神経細胞移動 / オートラジオグラフィー / バルプロ酸 / ゾニサミド |
Research Abstract |
神経細胞の移動障害に関わる不明な点を究明するため、本研究者らは胎齢16日目のラット胎仔の大脳皮質を48時間、組織培養する系を開発した。 すなわち、ウィスター系母ラットより無菌的に胎齢16日目の胎仔を取り出し、緩衝液中で大脳皮質頭頂部から大脳新皮質を含む約2x3mm角の小組織片を取り出す。これを1μCi/mlの^3H-thymidineを含む培養液(GIT、日本製薬)に浸漬し、30分の標識の後、培養膜(TRANSWELL、COSTER、USA)上で静地培養を行う。今回、抗痙攣剤が胎仔脳神経細胞の移動に与える影響を調べるため、培養液に抗痙攣剤を添加し、その影響についてオートラジオグラフィーにより評価した。抗痙攣剤としてバルプロ酸(VPA)とゾニサミド(ZNS)を用いた。 VPA添加群(90、145μg/ml)では、control群に比べて培養組織標本中に死細胞が多くみられた。cotrol群では死細胞は主に大脳皮質の中間層にみられ、培養中の栄養状態が不良であるためと考えられたが、VPA群ではマトリックス層にもみられ、VPAそのものの細胞に対する障害作用もあると思われた。しかも、VPA濃度145μg/mlの方が死細胞は多くみられたので、濃度依存性と思われた。 ZNS添加群(50μg/dl)ではVPA添加群でみられたような死細胞の増加はなかった。オートラジオグラフィーを施し、細胞核の上にグレインが7つ以上あるものをlabeled cellとし、labeled cellの大脳皮質各層ごとの割合を求め、t-検定により比較した。control群(n=10)ではマトリックス細胞層52.6±1.6%(平均±標準誤差)、中間層内方44.4±1.8%、中間層外方3.1±0.6%、皮質原基0±0%、ZNS添加群(n=9)ではそれぞれ56.4±3.0%、42.4±3.1%、1.2±0.9%、0±0%であった。中間層外方で有意差が認められた。(p<0.05)。従って、ZNSが神経細胞移動を抑制する可能性が示唆された。
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