1994 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌の増殖における線維芽細胞との相互依存性の解明と治療への応用について-線維芽細胞産生物質による制癌剤感受性への影響-
Project/Area Number |
06770920
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩田 亨 長崎大学, 医学部, 助手 (90253666)
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Keywords | 乳癌 / 線維芽細胞産物 / 制癌剤感受性 |
Research Abstract |
目的:乳癌の組織型別制癌剤感受性および制癌剤感受性に及ぼす線維芽細胞産物の影響を検索する。対象と方法:原発性乳癌35例(乳頭腺管癌14例、充実腺管癌12例、硬癌9例)で、アドリアマイシン(ADM)、シスプラチン(CDDP)、エトポシド(VP-16)に対する感受性をコハク酸脱水素酵素阻害法で検索した。薬剤濃度は臨床常用量使用時の最高血中濃度の10倍とした(ADM4μg/ml、CDDP20μg/ml、VP-16 100μg/ml)。結果は制癌剤非添加群の酵素活性に対する添加群の酵素活性比(%)で表した。1例の硬癌症例から得られた癌組織由来線維芽細胞の初代培養の上清を6例の乳頭腺管癌細胞に投与し、上記3剤に対する感受性の変化を検索した。結果:ADM、CDDP,VP-16の各々に対する感受性は、乳頭腺管癌で70%、68%、72%、充実腺管癌で68%、69%、77%、硬癌で48%、55%、46%であり、硬癌では各薬剤に対する感受性は有意に高かった。また硬癌由来線維芽細胞産物の添加によってADM2例、CDDP2例、VP-16 2例(各2例は各々異なる)で有意に感受性が増大した。結論:線維芽細胞産物はADM、CDDP、VP-16に対する感受性を高める作用を持ち、これが硬癌の感受性を増大させる一因と考えられた。 以上の結果は第3回日本乳癌学会総会(平成7年6月30日-7月1日、大阪)にて発表予定である。また、現在ヒト乳癌細胞株における検索を行っている。
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