1994 Fiscal Year Annual Research Report
胃病変に対する新しい切除法(経皮的内視境下胃内手術)の手技開発に関する実験的検討
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06770957
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金平 永二 金沢大学, 医学部・附属病院・第1外科, 助手 (10251951)
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Keywords | 腹腔鏡下胃内手術 / 腹腔鏡下手術 / 内視境下手術 / 胃粘膜切除術 |
Research Abstract |
【目的と方法】本研究では経皮経腹腔的に内視鏡を胃内に挿入し,胃粘膜切除を行う手技の開発を目的とした.雑種成犬8頭に全身麻酔下に手術を行った.経口内視鏡から送気を行い,胃を拡張させたのち,左上腹部3か所に腹壁と胃前壁を貫いて直径5mmのバレーン付きトラカ-ルを胃内に刺入した.腹腔鏡,高周波メス,把持鉗子をそれぞれ3か所のトラカ-ルより胃内に挿入し,前庭部と胃体上部の2か所の粘膜切除(直径35mm)を行った.切除後の胃壁欠損部は縫合閉鎖した. 【結果】手技開発途上での最も大きな問題は,安定したトラカ-ルの刺入と固定であった.トラカ-ル刺入に先立ち胃壁と腹壁を固定する方法は,迅速で安全であった.気密を保つためのバルーンは胃内操作時に破損することがあり,試作品のリングストッパー付きトラカ-ルを試用したところ,この問題は解決された.トラカ-ル刺入位置は重要であった.固体によって胃の位置が異なるため,個々に応じた位置決めが必要であった.胃の下垂が悪い例で,トラカ-ルにて大網動脈を損傷し多量出血を来した.粘膜切除に用いる高周波メスの形状は屈曲した針状のものが最適であり,最も正確な切除を行えた.ただし煙の発生により視野が著しく妨げられ,今後の課題として解決してゆきたい.粘膜下層に高張食塩水を注入した10か所の切除部では切除深度が安定し,穿孔の合併症は全くなかった.注入を行わなかった6か所の切除部では,4か所に穿孔を生じた.縫合においては,経肛門的内視鏡下マイクロサージェリーの特殊持つ針器とクリップを流用した.糸結びの代用としての銀クリップは大変有用で,これを用いなかった場合の縫合時間の約40%の短縮が得られた.しかし,特殊持針器は必ずしも必要ではなく,腹腔鏡下手術用の持針器で十分であった.このようにして開発した本手技の臨床応用をすでに開始している.
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