1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入による制癌剤感受性増強の検討-ヘルペスウイルス由来Thymidine kinase(HSV-Tk)遺伝子導入によるGanciclovir(GCV)の感受性の検討-
Project/Area Number |
06770959
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
下松谷 匠 福井医科大学, 医学部, 助手 (00187486)
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Keywords | Thymidine phosphorylase / PD-ECGF / 5´-DFUR(Doxifluridine) / 癌 / 新生血管増殖因子 / 遺伝子治療 / Bystander effect |
Research Abstract |
ピリミジン代謝サルベ-ジ経路の酵素であるThymidine phosphorylase(以下TPと略す)は、癌細胞においてしばしば高値を示すと言われている。我々も外科切除標本を対象に、癌組織及び同一患者の隣接正常組織のTP活性を測定し、癌組織において有意にTP活性が上昇していることを確認した。臓器別検討においては、肺癌、胃癌、大腸癌、胸膜・腹膜播種細胞等にて検討を行い、播種細胞にて低値の傾向を認めた。 5-FUのプロドラッグであるDoxifluridine(以下5´-DFURと略す)はTPにより、5-FUに変換される。そこで外科切除標本、cell linesを対象にTP活性と5´-DFUR感受性を検討し、正の相関の傾向を見出した。一方TPは新生血管増殖因子であるPlatelet Derived-Endothelial Cell Growth Factor(以下PD-ECGFと略す)と同一の蛋白であることが報告された。我々もPD-ECGF cDNA(TP活性を有する)を入手し得たため、同cDNAを利用して、種々の検討を行った。PD-ECGF cDNAをpcDNA3ベクターに挿入してcell lines(F2408,PC-3,PC-9,B16等)にトランスフェクトし、5´-DFUR感受性を検討した。F2408cell linesにおいてはPD-ECGFを導入(以下F2408+と略す)することで、5´-DFUR感受性が300倍以上にも増強した。またBystander effectを検討したところ、F2408+株20%にてBystander陽性の結果を得た。よってPD-ECGFは5´-DFURの薬剤増強遺伝子として遺伝子治療に利用できる可能性が示唆され、今後さらなる検討を加えていく予定である。またPD-ECGFの新生血管作用、転移作用についても、in vitro,in vivoの系を利用して検討していく予定である。
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