1994 Fiscal Year Annual Research Report
生体脳微小循環観察法を用いた至適逆行性脳灌流法の開発
Project/Area Number |
06771033
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
齊藤 力 自治医科大学, 医学部, 助手 (40245048)
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Keywords | cerebral circulation / retrograde cerebral perfusion / cranial window |
Research Abstract |
逆行性脳灌流法に関しての基礎的研究として、生体脳微小循環観察と脳組織観察を併用し、逆行性脳灌流法において脳浮腫が生じる過程を頭蓋圧内、灌流圧、灌流時間を調節することにより条件をかえ計測、記録し、評価、解析した。これにより至適逆行性灌流条件を推測した。 方法:Wistar系ラットを用いて腹腔内麻酔を施行、頭頂部に約5-6mm大のClosed Cranial Windowを作成し、頭蓋内圧を随時変更できるようにしてその内腔を人工髄液を用いて灌流した。落射型蛍光顕微鏡下に頭部を固定し、Closed Cranial Windowを介して微小血管領域における変化を観察した。脳表微小循環像の解析は、逆行性灌流時における脳微小循環の変化を逆行性灌流量、灌流圧、頭蓋内圧を随時調節し観察する事により行った。 結果:頭蓋内圧は逆行性灌流における重要な変数と想定し、ラットにおける生理的頭蓋内圧より若干低い1-3cmH20程度で脳表微小循環が良好に保たれると想定されたが、脳表微小循環の変化を観察していると頭蓋内圧が変動する事が、逆行性灌流圧20-30mmHgでの条件下では脳表循環の良否に関連する事が観察された。その逆行性灌流条件で頭蓋内圧が異常に高い条件や異常に低い条件では脳表微小循環の悪化を認め、それに関連して、病理学的には脳浮腫の発生が観察された。 以上の結果より逆行性灌流法の至適灌流圧には頭蓋内圧が関連していると考えられ逆行性灌流圧が高い場合には、過去の結果とは異なって、頭蓋内圧も生理的条件よりも高い方が脳浮腫が発生しにくく、良好な灌流が得られると推定された。今後さらに逆行性脳灌流法の基礎的研究に寄与すべく研究を継続していく方針である。
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