1994 Fiscal Year Annual Research Report
開胸法によるラット一過性脳虚血モデルを用いたMRSによる脳エネルギー代謝の研究-低温の脳保護効果の評価-
Project/Area Number |
06771034
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
水原 章浩 自治医科大学, 医学部, 助手 (00190661)
|
Keywords | 脳虚血 / 低温 / 脳保護 / MRS |
Research Abstract |
開胸法によるラット一過性脳虚血モデルを用いたMRSによる脳エネルギー代謝の研究-低温の脳保護効果の評価-1)開胸法によるラット全脳虚血モデルの作製:胸骨正中切開し、両側鎖骨下動脈を結紮、そのうえで両側総頚動脈をsnareする方法(開胸法)で可逆性全脳虚血モデルを作製した。2)ラット体温(直腸温)の調節:温度調節ブランケットの上にラットを置くことおよび氷嚢による体表面冷却法にて目標の体温(20℃、37℃)に調節できた。20℃にてもVFとならず血行動態の維持が可能であった。3)各直腸温におけるコントロールおよび脳虚血時のMRS測定:OtsukaElectronicsUSA社製^<31>P-MRSspectrometerを用い、無機リン(Pi)、クレアチニンリン酸(PC)、ATP(α、β、γ)濃度を測定した。各濃度の、虚血前コントロール値からの変化率およびPC/ATP比、PC/Pi比およびPC/Pi比を算出した。遮断時間は30分および60分とし、再潅流後の測定は120分まで行った。4)結果30分虚血:PCは、20℃群では、前値の60%の低下にとどまったのに対し、37℃群では40%まで有意差を持って減少し、虚血解除後の回復にも差を認めた。両者とも虚血解除後120分の時点では、ほぼコントロール値まで復帰した。60分虚血:20℃群ではPC、ATPとも90分後には前値に復帰したが、37℃群では回復しなかった。5)結論:20℃の超低体温は30分ないし60分の脳虚血に対し、脳エネルギー代謝面からみて脳保護効果を有している。
|