1994 Fiscal Year Annual Research Report
急性硬膜下血腫におけるHemispheric Swellingの発生機序に関する研究-興奮性アミノ酸の関与と細胞エネルギー需要の亢進-
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06771107
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木下 浩作 日本大学, 医学部, 助手 (90260968)
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Keywords | trauma / brain edema / ischemia / acute subdural hematoma / unilateral hemispheric swelling / excitatory amino acid / cytochrome oxidase / antagonist |
Research Abstract |
研究結果および考察 1.急性硬膜下血腫のモデルは、0.1もしくは0.2mlの自家血を硬膜下腔に23G針を用いて注入することで作成した(N=32)。0.2mlの自家血注入群では時間経過とともに生存率は低下したが、0.1mlの自家血注入群では24時間後も全例生存した。 2.硬膜下血腫作成後30分、3時間、6時間、24時間後に断頭し、硬膜下血腫を除去した後、乾燥重量法を用いて左右大脳半球の水分含有量を測定した。その結果、6時間後での硬膜下血腫作成側の大脳半球水分含有量の増加が最大となった。 3.硬膜下血腫作成6-12時間後にミトコンドリアの酸素代謝を示すcytochrome oxidase(CYO)活性を組織化学染色法にい観察した。CYO活性は硬膜下血腫作成後においても有意な変化を示さず、少なくとも0.1ml自家注入群では、硬膜下血腫直下の脳表面において脳虚血は発生していないと考えられた。 4.興奮性アミノ酸の拮抗薬であるキヌレン酸(800mg/kg)を硬膜下血腫作成前30分に腹腔内に投与した。水分含有量が最大となる6時間後に断頭し、水分含有量の変化を観察した。その結果、キヌレン酸の前処置により水分含有量の増加を有意に抑制できた。虚血性脳損傷において興奮性アミノ酸が細胞腫脹に関与している事が報告されており、今回の結果は、硬膜下血腫に伴う脳腫脹の発生にも興奮性アミノ酸が一部関与していることを示している。
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Research Products
(1 results)