1994 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチ患者滑膜組織のおけるサブスタンスP受容体mRNAの局在
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06771121
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松野 博明 富山医科薬科大学, 医学部・整形外科学, 助手 (00219461)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / サブスタンスP受容体 / in situ hybridization |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)において神経ペプチド、特にサブスタンスP(SP)は、RA罹患関節の関節液中に多量に存在し、血管拡張および血管透過性を亢進させ、滑膜細胞の増殖能や、PGE_2産生、コラゲナーゼの活性化を促進するとされている。しかしRA滑膜組織においてSPの受容体が存在するか否か、またどのような局在を示すかという点は未だ不明である。そこで本年度の研究では、ミクロオートラジオグラムによるin situ hybridization組織化学法を用い、RA患者および変形性膝関節症(OA)患者の滑膜組織におけるSP受容体遺伝子の局在と発現強度を解析した。その結果、SP受容体mRNAの陽性率はRAでは滑膜表層細胞および滑膜深層細胞で80%、血管内皮で62%であったが、リンパ濾胞ではSP受容体mRNAの発現はみられなかった。またOAにおける陽性率は滑膜表層細胞、滑膜深層細胞、血管内皮とも60%であったことよりRAの滑膜細胞では高率にSP受容体遺伝子が発現していることが明らかになった。また陽性細胞における単位面積当たりの平均銀粒子数から比較したSP受容体mRNAの発現強度は、RAの滑膜表層細胞および滑膜深層細胞で80個/100μm^2であるのに対し、RAの血管内皮、OAの滑膜表層細胞、滑膜深層細胞、血管内皮とも20個/100μm^2と有意に低かった。以上からRAの滑膜細胞ではSP受容体遺伝子が高率かつ強度に発現していることが明らかになった。これらの結果はRAにおいてSPがRAの関節炎増悪因子であるという従来の知見を裏付け、SPの主要な標的細胞が滑膜細胞であることを示すだけでなく、RAの滑膜細胞でのSP受容体の発現亢進という遺伝子発現制御機構の異常に起因する可能性が考えられた。今回の結果から亢SP受容体抗体を用いたSP受容体のブロック、およびアンチセンスプローブを用いたSP受容体遺伝子発現抑制による滑膜炎の抑制実験を行うための基礎的データーが得られた。
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