1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06771197
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
古橋 一壽 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (30209184)
|
Keywords | nitric oxide / ischemia-repertusion injury / isola ed rat lung |
Research Abstract |
一酸化窒素(nitric oxide:NO)は肺に吸入させることによって心臓肺循環の改善が得られることで注目されているが、同時にその毒性も指摘されている。今回、ラット摘出独立灌流肺標本を用いては虚血再灌流障害時のNOの量とその臓器障害関係について調査を行った。実験はラットに気管切開を加えて5%CO_2加airにて換気し、肺動脈カテーテルを挿入して4%Ficoll-Physiological salt solution(0.03ml/g/min)にて灌流し、肺標本を摘出して37℃の加温加湿チャンバー内に懸垂して行った。肺標本でのNO産生量を調節する目的でNω-nitro-L-argininemethyl ester(L-NAME)、L-arginine(L-arg.)〔L-NAMEはNOの産生を用量依存性に阻害し、L-arg.はこれをリバースする、D-arginineはL-arginineの異性体〕を使用して実験群を作成した。I群:薬剤投与(-)、II群:L-NAME(0.3mM)投与、III群:L-NAME(0.3mM),L-arginine(5mM)投与、IV群:L-NAME(0.3mM),D-arginine(5mM)投与、V群:L-NAME(0.3mM)投与、虚血再灌流(-)、薬剤投与は10分間の灌流後に行い、I〜IV群はさらに10分間の灌流後に60分間の呼吸・灌流停止、続いて60分間の呼吸・灌流を行なった。NOの合成阻害は肺血管の収縮・肺動脈圧上昇として肺動脈圧に反映され、組織障害はWet to Dry Weight ratio(W/D),灌流液中LDH量(LDH)を指標とした。再灌流60分時に肺動脈圧(mmHg)はI〜V群それぞれ5.1±0.2、7.3±0.5、6.3±0.5、7.2±0.6、5.1±0.1であり、L-NAMEを投与して、虚血再灌流した群がI、V群に対して有意に上昇した。W/Dはそれぞれ7.9±0.5、9.3±0.6、9.5±0.8、8.0±0.7、6.2±0.1であり、I〜IV群は群間で有意差はなかったがI群に対して有意に高かった。 LDH(IU/L)は188.8±23.4、199.0±5.7、176.3±8.9、201.5±14.9、134.2±9.5でありI〜IV群間で有意差はなかったがI群に対して有意に高かった。I〜IV群にて薬剤投与によりNOの産生量が変化して肺動脈圧が変化したにもかかわらず、W/D、LDHでは有意な差はなかった。以上よりNOは臓器障害に大きな影響を与えない可能性が示唆された。
|