1994 Fiscal Year Annual Research Report
実験的神経因性疼痛モデルにおける自律神経系の役割について
Project/Area Number |
06771201
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 政彦 大阪大学, 医学部, 助手 (50216016)
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Keywords | 神経因性疼痛 / 交感神経切除 / ラット / 皮膚温 |
Research Abstract |
ラット坐骨神経を軽く結紮する(Chronic constriction injury:CCI)ことにより,人間の神経因性疼痛に類似の行動を示すようになり,神経因性疼痛の動物モデルとして知られているCCI後の皮膚温変化に及ぼす交感神経系の役割を明らかにするため腰部交感神経幹を外科的に切除し,足底の皮膚温の変化に与える影響を調べた。 SD系雄性ラット(平均220g)を用いた。CCIはBennettらの方法に準じて片側坐骨神経におこなった。腰部交感神経切除術は,実体顕微鏡下で経腹膜的にL3-L6レベルで両側の交換神経幹を切除した。CCIのみ行なった群をA群(n=10)とした。腰部交感神経切除術はCCIの6日前(B群-ope n=11;C群-sham ope n=11),あるいは1日後に行なった(D群-ope b=11;E群-shamope n=11)。足底皮膚温の測定は2-4日ごとに4週間行ない,DT=患側皮膚温-健側皮膚温を計算した。 最初の1週間においてはA,C,E群のDTはCCI前のDTに比して有意に大きな値を示し,2週目以降のDTは負の値を示した。B群ではC群に比し初期のDTの上昇が有意に抑えられた。D群もE群に比し初期のDTの上昇が有意に抑えられた。それに対し2週目以降のDTの変化はそのまま残存する傾向がみられた。 交感神経を切除することにより足底皮膚温の上昇が抑えられたことにより,CCI後早期におこるDTの変化には,交感神経系が関与していることが示唆された。また,CCI約2週間後よりおこるDTの変化には,交感神経系はあまり関与していないことが示唆された。
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[Publications] S.Wakisaka: "Effects of sympathectomy on the cutaneous temperature abnormalities in rats with chronic constriction injury of the sciatic nerve" Neuroscience Letters. 173. 5-8 (1994)
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[Publications] 柴田政彦: "手術による神経損傷後の痛み" 日本外科系連合学会誌. 19. 67- (1994)