1994 Fiscal Year Annual Research Report
吸入一酸化窒素による肺高血圧症の治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06771207
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大嶋 嘉明 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (90233105)
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Keywords | 肺循環 / 低酸素性肺血管収縮 / 片肺換気 / イヌ / L-NAME / メチレンブルー / NO / 肺高血圧 |
Research Abstract |
イヌのin vivo標本において、1.血管内皮におけるNOs産生障害標本(L-NAME処置)、2.血管平滑筋におけるcGMP産生障害標本(メチレンブルー処置)を作製し、それぞれで片肺虚脱による低酸素性肺血管収縮に対する吸入NOの効果を検討した。(方法)雑種成犬を麻酔後、気管内挿管し、人口呼吸器によりF_IO_2=0.21、TV=15ml/kg、RR=20rpmで換気した。また股動脈、股静脈より動脈ラインと静脈ルートを確保した。ベントバルビタールとパンクロニュウムの持続投与により麻酔を維持した。右外頚静脈よりスワンガンツカテーテルを挿入した。気管切開し、左肺換気、右肺虚脱が出来るよう左用ブロンコキャス^<(R)>35Frを挿入した。片肺換気は両側換気と同じ呼吸条件で行った。NO吸入は人口呼吸器の吸気口より行った。対照値を測定後、L-NAME処置群(n=6)とメチレンブルー処置群(n=6)に分け、各群においてL-NAME 40mg/kgあるいはメチレンブルー5mg/kgを30分で股静脈より投与した。血行動態の安定後、右肺虚脱による肺動脈圧上昇に対して40ppmNO吸入の効果を調べた。L-NAME処置群では平均肺動脈圧が右肺虚脱で13.3±1.5mmHgから19.3±2.0mmHgに有意に上昇し、NO吸入により16.7±1.6mmHgに低下した。一方、メチレンブルー処置群では平均肺動脈圧が右肺虚脱で15.4±0.5mmHgから20.9±1.1mmHgに有意に上昇したが、NO吸入によっても20.8±0.9mmHgと低下しなかった。また、両群ともに、NO吸入の前後では体血圧、心拍出量、中心静脈圧、PCWPに変化はなかった。以上の結果より、血管内皮のNOs産生系が障害された場合にも、吸入NOの肺血管拡張作用が期待できるが、guanylate cyclase-cGMP系が障害された場合には、その作用が期待できないと考えられた。
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[Publications] 石部裕一,大嶋嘉明ほか: "吸入一酸化窒素の低酸素性肺血管収縮抑制作用" 呼吸と循環. 42. 791-796 (1994)
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[Publications] 大嶋嘉明,石部裕一ほか: "吸入NOの肺血管収縮抑制作用" 麻酔. 44. 180-187 (1995)
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[Publications] Yuichi Ishibe,Yoshiaki Ohshima,et al: "Pulmonary Circulation Research 1993" Ebitors H.NAGANO,T.NAKADA,Y.SAGAWA,Japanese Society for Pulmonary Circulation Research, 107 (1994)
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[Publications] Yoshiaki Ohshima,Yuichi Ishibe,et al: "Pulmonary Circulation Research 1993" Ebitors H.NAGANO,T.NAKADA,Y.SAGAWA,Japanese Society for Pulmonary Circulation Research, 107 (1994)