1994 Fiscal Year Annual Research Report
表在性膀胱腫瘍に対するエピルビシン-BCG併用療用関する基礎的、臨床的研究
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06771287
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
平野 敦之 和歌山県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 助手 (30218797)
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Keywords | 膀胱腫瘍 / BCG / エピルジシン(epi-ADR) |
Research Abstract |
1.マウス膀胱癌(MBT-2)モデルを用いて、BCGおよびEpirubicin(epi-ADR)の併用効果について検討を行った。可移植マウス膀胱癌細胞(MBT-2)をC3H/He雌性マウスの大腿部皮下に移植した。移植後マウスを10匹ずつ4群(対照群、BCG単独群、epi-ADR単独群、併用投与群)に分配し、薬剤の腫瘍局所への接種を行った。治療効果の判定は、腫瘍生着率、腫瘍体積およびマウス生存期間について行った。その結果、併用群では、epi-ADR、BCG単独投与群に比較して、腫瘍生着率、腫瘍増殖およびマウス生存期間のいずれの検討項目においても、優れた抗腫瘍効果が得られ、腫瘍局所におけるepi-ADRおよびBCGの両者の併用効果が期待された。 2.次に臨床的検討として、表在性膀胱腫瘍症例44例に対して、TUR後の再発予防を目的としてepi-ADR/BCG併用膀胱内注入療法を行った。治療のプロトコールはepi-ADR(40mg)を術直後膀胱内に注入し、その後1週間毎に6回BCG(80mg)の膀注を行った。過去にTUR後にBCG単独の膀胱内注入療法が施行された表在性膀胱腫瘍症例184例を対照群として、TUR後の腫瘍再発率により比較検討を行った。その結果、epi-ADR/BCG併用注入群44例中、これまでに再発が認められたのは3例であり人年法に基づく術後2年以内の100Patient-months当たりの腫瘍再発率は0.33で、BCG単独注入群の1.39に比較して有意な再発率の低下が認められ、有意な再発予防効果が得られた。しかし、副作用の面では、併用群で膀胱刺激症状、感冒様症状および発熱などの出現頻度が高く、またその程度も強い傾向にあった。 3.マウスの膀胱内へのepi-ADRの注入の有無によるBCGの膀胱粘膜への付着状態について組織学的に検討を行ったところ、光顕的にはepi-ADR注入によるBCGの接着増強は確認できなかった。現在BCGの細胞表面への接着に重要とされているfibronectinに注目し、epi-ADRによる誘導状態に関して、免疫組織化学およびFlowcytometryを用いて検討中である。
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