1994 Fiscal Year Annual Research Report
排卵期卵巣におけるインターロイキン-1の発現とその生理的役割に関する検討
Project/Area Number |
06771339
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 康彦 山口大学, 医学部, 助手 (30227946)
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Keywords | 雌ラット / インターロイキン-1 / インターロイキン-1β mRNA / 卵巣 / マクロファージ |
Research Abstract |
幼若ラットを用いてPregnant mare serum gonadotropin - human chorionic gonadotropin(PMSG-HCG)で卵胞発育、排卵を促し卵巣内IL-1 mRNAをノーザンブロット法にて測定したところ、HCG投与後6時間目にピークを作るIL-1 mRNAの発現を認めた。またこのmRNAのピークは、Preovulatory follicleが卵巣内に認められるPMSG投与後36時間以降強くなり、それ以前および時間以降は、発現が弱かった。この結果は、卵巣内IL-1の発現には排卵前卵胞の存在が必要であり、この限られた期間でかつHCG投与後発現が誘導される事より、IL-1は、排卵過程に何等かの関与を及ぼす事が示唆された。一方、正常性周期を有する雌ラットの卵巣では、この変化は、不明瞭であった。その原因の一つとして、IL-1を発現しうる黄体が存在しているためと考えられた。 次に、IL-1産生源と考えられるMacrophage(Mφ)の性周期に伴う変化について雌ゴールデンハムスターを用いて検討した。その結果、腹腔内Mφ数が性周期で異なる事、Proestrusに採取した腹腔内Mφが最もIn vitroでのPreovulatory follicleのプロゲステロン産生を亢進させた事を見い出した。さらにこの作用は、ovine luteinizing hormone(oLH)存在下でのみ認められた事、oLHがMφからのIL-1分泌を直接に誘導する事を発見した。またこのIL-1分泌は、性周期に依存している事をも確認した。以上の発見は、性周期に伴いMφが影響を受けている事、発育卵胞の出現に伴い卵巣内にchemotactic factorが発現してMφを遊走させているか、あるいは卵巣内にIL-1発現能を有する細胞が誘導された事を示唆している。
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