1994 Fiscal Year Annual Research Report
受精とくに前核形成過程における蛋白質リン酸化の関与について
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06771362
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
稲垣 昇 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (20232506)
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Keywords | phosphorylation / fertilization / protein kinase C / Tyrosine kinase / Calomodulin / Protein Phosphatase / Calclum |
Research Abstract |
精子進入直後より卵の種々の蛋白(116kd,98kd,91kd,60kd,45kd,43kd,35kd,33kd,27kd)の燐酸化が亢進することが一次元の電気泳導上確認され、45kdと33kdの蛋白においては2次元の電気泳導において蛋白が同定でき、この燐酸化に関してはCa ionophore(A23187)を用いた卵内Ca濃度の上昇によっても、またTPAを用いたPKC活性化によっても亢進が認められた。また受精においてPKC,Tyrosine kinase,Protein phosphatase,Calmodulineがどの様に関与しているかにおいて検討したところ、PKCにおいてはTPA・staurosporine・H7を用いた実験により燐酸化(45kd,33kd蛋白を含む)の持続及び形態的には染色体の分離・第二極体に関与していることが確認された。Tyrosine kinaseに関してはGenisteinを用いた実験により45kd・33kd蛋白の燐酸化にtyrosine kinaseが関与していることが確認され(45kd蛋白に関しては直接tyrosine残基が燐酸化される)、形態的には前核形成・極体放出に関与していることが認められた。Protein phosphataseに関してはinhibitorであるOkadaic acidを用いて検討したところOkadaic acidは種々の蛋白の燐酸化を亢進するものの受精においては逆に抑制される91kd蛋白の燐酸化を亢進してしまい、形態的には染色体のdecondensationは認められるものの核膜の形成はおこらずまた極体放出も抑制されてしまうことが確認された。Calmodulinに関しては燐酸化(受精において亢進するほぼすべての蛋白質)の抑制と前核形成・極体放出の抑制が認められるがこれはCa ionophore(A23187)を用いた卵活性化の時にも認められるが、TPAを用いたPKC活性化の時には認められないことが確認され、従ってPKCとcalmodulinは共通のものの活性化に関与しているかもしくはPKCの活性化にcalmodulinが関与していることが示唆された。増殖因子の関与については卵におけるreceptorが確認されていないEGFにおいて精子侵入後において燐酸化の亢進と前核形成の促進が認められこれはgenisteinにより抑制されたがEGFが直接何に作用しているのかは今後の課題である。
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Research Products
(2 results)