1994 Fiscal Year Annual Research Report
胎児胎盤循環調節における一酸化窒素の意見に関する研究
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06771372
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石巻 静代 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10256604)
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Keywords | 妊娠 / 胎盤 / 一酸化窒素 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
「目的」胎児胎盤循環が障害される各種病態において胎盤でのNO合成酵素(NOS)の局在ならびに発現の差異の検討を目的とした。「成績」家兎に免疫して作製したヒト内皮型NOSに対するポリクローナル抗体を用いて、妊娠初期、及び末期の正常胎盤組織の免疫組織化学的検討を行った。ヒト内皮型NOSの局在は胎盤を構成する組織のうち、胎児側では臍帯血管の終末である絨毛内の毛細血管内皮細胞、ならびに絨毛の合胞体細胞に認められた。この免疫組織染色性は妊娠初期絨毛組織と妊娠末期絨毛組織との比較では、絨毛において合胞体細胞の構成比の高い妊娠末期胎盤において高い傾向が窺われた。妊娠中毒症例の胎盤を用いた検討では、NOSの発現は低下する傾向が示唆された。インビトロにおける胎盤絨毛細胞のNOSの発現の免疫組織化学的検討を行う目的で、Percoll gradient法を用いてヒト胎盤よりcytotrophoblastを調整し、10%ウシ胎仔血清を添加したDulbecco's Modified Eagle's Medium中で培養し、同抗体を用いた検討を行った。ヒト内皮型NOSはcytotrophoblastには染色されなかったが、培養72時間後にこれらcytotrophoblastが合胞体細胞への分化を終了した時点では強く染色された。以上の成績より、ヒト胎盤絨毛においても血管内皮細胞と同様に内皮型NOSが発現することが明らかとなった。今後、絨毛細胞培養系を用いてNOSの発現に影響を与える可能性のある物質を負荷することにより、NOS発現の調節機構の詳細な検討を行う予定である。
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