1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06771419
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
松瀬 敏章 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60244018)
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Keywords | 呼吸 / 喉頭 / 高CO_2血症 / 反回神経 / ネコ |
Research Abstract |
1.ネコ疑核内において内喉頭筋運動ニューロン(Mn:motoneuron)と同定できたものにおいて、高CO2血病によってそのニューロン活動になんらかの変化が認められたニューロンを、主として吸息相にそのニューロン活動に変化が認められたものをI-Mn、主として呼息相にそのニューロン活動に変化が認められたものをE-Mnと分類した。 2.各ニューロンにおいて、安静呼吸時及びCO2負荷時の反回神経刺激に対する逆行性応答のピーク潜時の変動を呼吸位相別に解析した。その結果、I-Mnでは安静時において吸息相のピーク潜時は呼息相に比べわずかに短いが、大きな差は認められなかった。しかし、高CO2血症時には呼息相におけるピーク潜時は安静時に比べ著明に延長し、吸息相との差が顕著となった。またE-Mnでは、安静時においてそのピーク潜時は吸息相のほぼ中央で最も延長し、その後、呼息相の終末にかけて次第に短縮した。一方、高CO2血症時には吸息相におけるピーク潜時は安静時に比較して延長し、呼息相においては、その中期においてピーク潜時の著明な短縮が認められた。 3.このように自発発射の認められない内喉頭筋運動ニューロンにおいても、潜在的に呼吸周期に同期した興奮性の変動が認められた。すなわち、呼吸に同期した興奮性の入力により、声門閉鎖筋の運動ニューロンは呼息相において興奮性が高まり、声門開大筋の運動ニューロンは吸息相において興奮性が高まっているものと考えられる。さらに高CO2血症時には、このような周期的興奮性の変動は増強され、吸息相と呼息相におけるこれらの運動ニューロンの興奮性の相対的差はより顕著になる傾向が認められた。 4.この結果から、喉頭は、呼吸困難のような特殊な条件下では積極的に呼吸の調節に関与している事が示唆された。
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