1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06771464
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大西 純夫 関西医科大学, 医学部, 助手 (80257914)
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Keywords | 内耳蝸牛外有毛細胞 / 塩素イオンチャネル / カリウムチャネル / カルシウムチャネル |
Research Abstract |
哺乳類の内耳蝸牛には、内・外、二種類の有毛細胞が存在する。このうち内有毛細胞は、音による基底板の振動を中枢に伝える感覚受容器である。一方、外有毛細胞は、機械的刺激によって細胞体が収縮し、基底板の振動を規制することによって、音の感受性の調節、ならびに聴器の鋭い周波数弁別能の形成に関与している。我々は、外有毛細胞が単離・潅流下で電気刺激によっても細胞体積の減少を伴って収縮する事を報告した。一般に、この様な細胞体積の収縮には、カリウムおよび塩素イオンの輸送が、重要な役割を果たしている事が多い。また塩素イオン輸送の阻害薬である、フロセミドなどループ利尿薬は、生体内において、外有毛細胞の機能を障害し、聴器毒性を発揮する事が知られているが、その詳細な機構は未だ明らかではない。そこで、我々は、塩素イオン感受性蛍光色素であるMQAEを用いて、電気刺激による外有毛細胞の収縮時に細胞内塩素およびカリウムイオン濃度の減少を観察することに成功した。さらに、現在までに我々は、塩素イオン感受性蛍光色素MQAEを用いて、外有毛細胞の電気刺激による収縮ならびに細胞体積調節のイオンおよび細胞内情報伝達機構をω-コノトキシン感受性カルシウムチャネルを介して細胞外より流入するカルシウムイオンにて活性化される、BK型カリウムチャネルとフロセミド感受性塩素イオンチャネルガそれぞれ独立して関与している事を明らかにした。今後は、さらにこの機構の細胞内情報伝達系を解明し、ループ利尿薬等による聴器毒性の発生機序の解明と、その発生を抑制するための方策を探索していきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] SUMIO OHNISHI: "Delayed shortening and shrinkage of cochlear outer hair cells" American Journal Physiology. 263. C1088-C1095 (1992)
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[Publications] SUMIO OHNISHI: "Regulation of Cl^- Conductance in Delayed Shortening and Shrinkage" Acta Otolaryngol(Stockh). Suppl 500. 42-45 (1993)
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[Publications] 大西純夫: "内耳蝸牛外有毛細胞とイオンチャネル" ブレインサイエンス. 5. 39-47 (1994)