1994 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロンによる実験的脈絡膜新生血管の抑制効果の検証
Project/Area Number |
06771556
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
高橋 寛二 関西医科大学, 医学部, 講師 (60216710)
|
Keywords | 老人性円板状黄斑変性 / インターフェロン / 脈絡膜毛細血管 / 血管内皮細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 脈絡膜新生血管 |
Research Abstract |
最近、老人性円板状黄斑変性に対する薬物療法として注目されているインターフェロン(IFN)の有効性を、実験的に以下の3点について検討した。 1. IFN-βの脈絡膜毛細血管板再形成過程への効果 実験動物としてカニクイザルを用いて、眼底に色素レーザーで中等度凝固を行った。IFN-β300万国際単位を連続7日間筋注し、眼球摘出の上、光学顕微鏡、電子顕微鏡で脈絡毛細血管の再形成過程を形態学的に観察した。IFN-βを全身投与すると、脈絡膜毛細血管の血管内皮細胞増殖及び遊走抑制作用により、再形成過程が著しく抑制された。 2. IFN-βの網膜色素上皮修復過程への効果 上記の実験系で、網膜色素上皮の修復過程を形態学的に観察した。IFN-βを全身投与すると、網膜色素上皮細胞の増殖は著しく促進された。 3. IFN-βの実験的脈絡膜新生血管に対する効果 クリプトンレーザーを用いてサル眼底後極部に強度光凝固を行い、実験的脈絡膜新生血管を作成し、実験的脈絡膜新生血管の確認した後、IFN-β300〜600万国際単位を14日間毎日筋注した。光凝固後3週にその効果を臨床的に判定した後、光学顕微鏡及び電子顕微鏡により、形態学的に観察した。臨床的に脈絡膜新生血管は退縮した。その機序は、著しく増殖した網膜色素上皮細胞が新生血管を確実に囲い込み、新生血管の活動性が低下するためである事が明らかになった。 以上、IFN-βの全身投与により、実験的に脈絡膜新生血管が退縮することが示され、その機序も形態学的に明らかになった。このことは、脈絡膜新生血管が原因で発症する老人性円板状黄斑変性に対して、IFNが有効な治療薬となる可能性を示している。
|