1994 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脈絡膜新生血管発生の血管新生因子レセプター発現に対する分子生物学的研究
Project/Area Number |
06771562
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松島 正史 関西医科大学, 医学部, 助手 (00192336)
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Keywords | 脈絡膜新生血管 / 血管新生 / 増殖因子 / 線維芽細胞増殖因子 / 線維芽細胞増殖因子レセプター1 / 新生血管黄斑症 / in situ hybridization / 分子生物学 / 新生血管黄斑症 |
Research Abstract |
線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは血管新生を誘導する増殖因子のなかでもよく知られているもので、FGFがその作用を発現するには標的細胞の細胞膜表面に存在するFGFレセプターに結合しなければならない。FGF receptor 1は生体内に広く分布する塩基性線維芽細胞増殖因子(basic-FGF)と酸性線維芽細胞増殖因子(acidic-FGF)の受容体である。今回、in situ hybridization法を用いて実験的脈絡膜新生血管発生過程におけるFGF receptor 1の発現を遺伝子レベルで観察した。実験動物としては、成熟有色ラットの眼底後極部にクリプトンレーザーで強度光凝固を行い、実験的に脈絡膜新生血管を作成した。光凝固後の組織を観察すると、FGFreceptor 1の発現を示す染色は凝固後3日、7日、14日の組織においては網膜色素上皮細胞、脈絡膜血管壁等に強い染色をみた。凝固28日目には染色をみなかった。電顕でみると、凝固後3日より網膜下腔に新生血管をみた。網膜下新生血管の発生と発育には増殖した網膜色素上皮細胞の随伴が必要であることがわかっている。また、網膜下新生血管は脈絡膜血管の血管内皮細胞が遊走、増殖して発生するものである。今回の研究で光凝固後早期よりFGF receptor 1のmRNAの発現が網膜色素上皮細胞、脈絡膜血管壁にみられたことから、網膜色素上皮細胞及び脈絡膜血管内皮細胞がFGFに反応して増殖し、網膜下への脈絡膜新生血管の発育に関与していると思われた。 この研究は、強度網膜光凝固後の組織修復過程に伴う脈絡膜新生血管発生にFGFが関与していることを示唆した研究であるが、臨床でみられる老人性円板状黄斑変性症などの新生血管黄斑症においてもFGFが関与している可能性を示しており、これらの治療法の一つとしてFGF受容体機能阻害による薬物療法の可能性を示唆するものである。
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Research Products
(1 results)