1994 Fiscal Year Annual Research Report
実験的自己免疫性ぶどう膜炎に対するFK506およびラパマイシンの点眼治療効果
Project/Area Number |
06771567
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
池田 英子 久留米大学, 医学部, 助手 (70222875)
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Keywords | FK506 / EAU / EMIU |
Research Abstract |
目的:実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)に対するFK506やラパマイシンの全身投与の薬物効果は従来までに数々報告があり、FK506では臨床的にぶどう膜炎患者に対する効果も確認されてきている。しかし、これらの薬剤は強力な免疫抑制作用を有するため、全身投与に伴う副作用も少なくない。従って、副作用の軽減をはかるためには、これらの薬剤の局所投与で、同等のぶどう膜炎発生抑制効果が得られることが望ましい。そこで、EAUに対してこれらの薬剤の点眼治療効果について検討することにした。 方法:ルイスラットの足掌に網膜可溶性抗原(S抗原)20μgで免疫し、0.1%、0.3%FK506点眼を行った。しかし、EAUの程度が強く、どの群でもEAU発症は全く抑制されなかった。そこで、前眼部炎症のモデルである実験的メラニン起因性ぶどう膜炎(EMIU)を用いて、FK506点眼の抗炎症作用について検討した。ウシメラニン蛋白抗原(BMP)をルイスラットの足掌と腹腔内に25μgづつ免疫し、免疫後0-14日間、0.1%、0.3%FK506点眼およびコントロールの基剤点眼を4時間毎に行った。治療後14日目に臨床所見の評価と病理組織学的評価を行った。 結果:臨床的には0.1%、0.3%FK506点眼群のいずれもEMIU発症を完全に抑制した。病理組織学的には0.1%FK506点眼群では60%、0.3%FK506点眼群では50%でEMIUの発症を抑制した。炎症のグレード(中間値)は、それぞれ0、0.5と非常に軽微な炎症であった。 今回、EMIUでのFK506点眼のぶどう膜炎発症抑制効果が確認された。今後は免疫に用いるS抗原量の調節を行い、比較的軽度の炎症が起こるS抗原量を決定し、再度EAUでの同様の点眼実験を行う予定である。
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