1994 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性腫瘍におけるアメロジェニンの局在に関する免疫電顕的研究と遺伝子発現
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06771587
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 巧 岡山大学, 歯学部, 教務員 (50192878)
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Keywords | 歯原性腫瘍 / アメロジェニン |
Research Abstract |
1.歯原性腫瘍における腫瘍細胞の機能分化を明らかにするため,腺様歯原性腫瘍,エナメル上皮線維歯牙腫,歯牙腫,エナメル上皮腫,エナメル上皮線維腫について,抗アメロジェニン,エナメリン抗体を用いて,免疫組織化学的に検索を行った。腺様歯原性腫瘍は,歯乳頭細胞の欠如にも関わらず硬組織の形成を認めたことから,腺様歯原性腫瘍の上皮細胞は,上皮-間葉相互作用なしにエナメル基質形成能を有するまで機能分化している可能性が示唆された。しかし,間葉系組織が存在しないことから正常のエナメル質構造を示さないことが考えられた。エナメル上皮線維歯牙腫および歯牙腫の構成細胞は,歯胚にかなり類似した程度まで分化を示していると考えられた。しかし,象牙質-エナメル芽細胞様上皮細胞境界部で基底膜蛋白が残存したり,成熟期のエナメル基質蛋白の脱却が不規則になるなどエナメル芽細胞様腫瘍細胞に機能障害があるため,正常の歯牙様形態を示さないと考えられた。また,集合性歯牙腫の構成細胞は,複雑性歯牙腫の構成細胞と比較して,より機能分化していると考えられた。エナメル上皮腫は形態的にはエナメル芽細胞に類似し,エナメル上皮線維腫はさらに歯乳頭様の間葉系組織を伴っているが,機能的にはエナメル基質蛋白合成能を有するまでは分化していない細胞であることが示唆された。 2.歯原性上皮における細胞分化と機能の発現様式について検索を行うため,アメロジェニン蛋白およびそのmRNA probeを作製,正常ラット切歯歯胚を用い,Digoxigenin標識single strand RNA probeによりin situ hybridization法を用いて検索を行った。また,抗アメロジェニン抗体をもちい,immuno-gold法により免疫電顕的検索を行い,ラット切歯歯胚のエナメル芽細胞にアメロジェニンのmRNAのシグナルの発現を認めるとともに,エナメル芽細胞内の分泌顆粒および細胞外のエナメル質基質にImmuno-goldの局在が認められた。現在,これらの手法を用いて各種の歯原性腫瘍について検索を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 日名雅彦: "歯原性腫瘍のエナメル基質蛋白,IV型コラーゲン,ファイブロネクチン局在の免疫組織化学的研究" 岡山歯学会雑誌. 13. 57-66 (1994)
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[Publications] 長塚 仁: "BMP誘導異所性硬組織界面の骨芽細胞分化と骨基質蛋白遺伝子遺伝子の発現 -In situ hybridization法による検討-" J.Hard Tissue Biology. 3. 7-12 (1994)